-91- 追憶
齢を重ねるにつれ、過去を想い出す追憶が増えてくる。楽しかったこと、辛かったこと…と、様々な追憶が巡るが、孰れにしても現在から懐古するためか、少し侘しい気分が訪れなくてもいいのに訪れる。^^ 楽しい追憶はどこか懐かしく、思わず哂えるが、辛かった追憶は侘しいものだ。ああ、あの頃は…と、なる。だが、よく考えれば、今の自分があるのは、あの頃を乗り越えたからだから、有り難い…と、年金暮らしで細々と恙なく生きられる今に感謝しなければならないだろう。嗚呼、有り難いっ、有り難いっ!^^
倉尾は、あの頃は…と振り返っていた。振り返っても頭髪が増える訳でもないのに振り返っていた。あの頃は毛がフサフサと生えていて、禿てなかったぞ…と、侘しい思いで巡っていた。また散髪か…と邪魔になるほど伸びる頭髪を恨めしく思ったくらいだ。それが今は、フサフサ生えている他人の頭を見て、恨めしく思う自分がいた。四谷怪談のように、ああ、恨めしい恨めしい…とは思わなかったが、それでもなぜか侘しい気分に苛まれるのだった。テレビで流れる人工頭髪のCMを観るにつけその侘しい思いは頓に深まっていくのだった。
倉尾さん、年を取れば誰だって頭髪は減ってくるものです。そう侘しがらず、追憶は追憶として楽しく生きましょう!^^ 禿が何ですかっ!(白髪[しらが]も含みますっ!)^^
完




