表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/100

-85- 出世

 生きていれば、誰だって出世したいものだ。この出世という意味は、地位やお金、それに名声といった他人に比べて一段、高い立場に立てる・・という内容をいう。私なんかは、いつも下々でサッパリだったのだが…。^^ しかし、出世できないからといって(わび)しい気分に落ち込む必要はないのである。出世して必ず幸せな人生を送れる・・という保証はないからだ。それどころか、出世したことで人生を棒に振ったというケースも多々、見受けられるのである。

 とある町役場である。今年で勤続21年になった万年ヒラの鹿尾は角を切られたあとのような状態で、公園をショボく歩いていた。いくらなんでもこの春には係長へ昇格出来るだろう…と目論んでいたのだが、内示は待てど暮らせど、なかったのである。トボトボとショボく歩きたくなるというのも無理からぬ話である。^^ 同期に入庁した職員達は皆、課長だの課長補佐だのと出世を遂げていた。

「俺はダメだな…」

 鹿尾は、自分の不出世を嘆きながら、公園の古びたベンチへドッカリと腰を下ろした。しかし、鹿尾の出世できない万年平は、少しも侘しくなかった。というのは、市町村合併の話が俄かに盛り上がり、各課の管理職は慌ただしく対応する破目に陥り、侘しい勤務を強いられるようになったからである。万年平の鹿尾にとっては無関係な話で、いつものように仕事を終えると帰宅する平穏で平和な日々が続いていった。

「市町村合併らしいよ…」

「あら、そう…」

 他人事のように美味い鍋料理を囲みながら家族と団欒(だんらん)し、鹿尾はまだ寒が残る庭の木々を愛でながら美酒を(あお)った。鹿尾には出世しなかったことが、ほのぼのとした幸せのように思えた。

 鹿尾さん、私もそう思えます。^^ 侘しい勤務はいやですからね。^^


                   完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ