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-84- 間違い

 間違いないと思っていたのに間違いだった時の気分ほど(わび)しいものはない。間違いない…と思う思いが深ければ深いほど、心は疼いてネガティブになることだろう。これは誰もが受ける感情で、人が神様や仏様ではないという証拠に違いない。私だってストラディバリウスの音色をよく聴き間違えるアホの一人である。^^ グァルネリの音色ならどうなのか? は、よく分からない。^^

 耳の音感には自信がある本多は、すっかり自信を失くしていた。というのも、電話の声が長年連れ添った妻だったのを聴き間違えたからだった。話したあと、自分の妻だと分かったからよかったが、もし分からないままなら、偉いことになっていた…と、後になって本多は侘しく思った。オレオレ詐欺に遭う老人が増えている今、自分も分からないぞ…と侘しく思えたのだ。これはそのときの会話の一部始終である。

『ですから、私だと言ってるでしょ!』

「誰だって? …ああ、老人会の江川さんでしたか。その節は、いろいろお世話になりまして有難うございました…」

『なに言ってるんです。嫌私ですよ、お爺さん』

「お爺さん? 私は本多ですが?」

『分からない人ですね…もう、いいですっ!』

「分からないって、本田と申し上げてるじゃありませんか…」

 そう本多が言ったとき、妻の電話はすでに切れていた。本多はそのとき、しまった! 間違ったぞ…と張力の衰えに、侘しい気分になった。

 気づいたんですから、まだまだ大丈夫ですよ本多さん!^^


                   完

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