表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/100

-77- 優(やさ)しさ

 文明が進歩した現代社会は、人々の()に対する(やさ)しさが次第に薄れているように思え、実に(わび)しい。他とは人だけでなく、自分以外の全てに対してである。私の作品中に[川柳百選]という(つたな)い川柳集があるが、その中の一句で詠んだ愚作に[豊かさは 心と物が 反比例]がある。その心は?^^ と問われれば、心の優しさが物質が豊かになった分だけ(しぼ)んでいく・・と皮肉った愚直な句だが、まさに、今まさにそう思えるのは私だろうか…。残念っ!^^

 とある中央官庁の万年平職員である奥目(おくめ)は疲れ切った肩を揉みながら、パソコンの入力作業を終えた。いや、終えたと本人は思っていた。ところが、その入力にはミスがあった。

「奥目君、ちょっと…」

 課長に呼び出された奥目は、いつものことながらビクビクしながら課長席へと急いだ。

「これだがね…。間違っとったよ! 毎度のことだが、君は手間がかかるね。やり直してくれたまえ…」

 間違えた上に、嫌味まで言われた奥目はすっかり侘しい気分で自席へ戻った。その様子の一部始終を奥目の後輩職員の出歯(でば)が見ていた。出歯は閉庁になった夕刻、雑用に(かこつ)けて一人、間違った書類入力をし、奥目のデスクに何げなく置いておいた。出歯の優しさである。

 翌朝である。デスクに置かれた書類に置かれた書類に気づき、奥目は課長席へ急行した。

「課長、出来ました…」

「嘘だろっ! 昨日の今日だよ。まあ、いい…。君にしては上出来だ」

 お褒めに預かり恐縮に存ずる…と、お武家風に思いながら、奥目は課長に一礼した。かろうじて面目を保てた奥目は、誰だろうな…と課内を見回しながら自席へと戻った。

 現実の世の中でも、こうした優しさに満ちた正義の味方がいっぱい欲しいですよね。^^


                   完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ