-71- 早起き
早起きは三文の徳・・とか言われる。早起きすることで、フツゥ~の時間に起きた場合に比べ、していなかったことが出来る上に、なんといっても気持的にゆとりが生まれるといった効用があるようだ。出来ていなかったことが出来るのだから、当然、侘しい気分も失せ、快適な一日がスタート出来る・・と、話はまあ、こうなる。^^
とある本場所のテレビ中継が行われている。今年限りで引退したとある野球選手がゲスト解説者として親方とアナウンサーの中央に座し、アアとかコウとかの質問を受けている。
「その辺りのところは…?」
「どの辺りですか?」
「稽古時間や稽古量の違いとかは?」
「ああ、その辺りですか…。その点は野球練習も相撲稽古も同じでしょうね」
「と、言われますと?」
「野球も相撲も、本人の自覚の違いが出ると思います。早起きして早朝練習をすれば確実に技能アップするという保証はありませんが、ソレなりの成果はあると思います」
「ソレなりですか?」
「ええまあ…。ソレなりは見えません。第一、身体を動かしますから練習のあとの食事が美味いです」
「それは確かに…」
それまで聞く人だった親方が、ひと言だけ短く口を挟んだ。
「見えない効用・・ですね。いや、本日は有難うございました。今後のご活躍をお祈りいたします」
三人は解説席でお互いに握手して別れた。順序は、アナウンサー⇔ゲスト、ゲスト⇔親方、アナウンサー⇔親方の3通りが考えられるが、そこまでは分かりません。^^
完




