-66- 期待
期待していたことが、ご破算となれば、侘しい気分になる。その期待が大きければ大きいほど、その侘しさは増幅される。
秋の紅葉がチラホラと舞い始めた庭先を、熊手は箒で掃いていた。別に苗字が熊手だからといって熊手で掃かねばならない、という決めはない訳だ。^^
『ああ、今年も残り少なくなった…』
熊手は掃く手を止めると、片手で頭の毛に落ちた木の葉を払い、撫でつけた。木の葉が地面に落ちれば木の葉となる・・とは、いつぞや大学の先生が話していた…と、熊手は懐かしい過去の一場面を、ふと、思い出した。では、頭の上に落ちた葉は木の葉なんだろうか? 木の葉なんだろうか? 調べておく必要があるぞ…と、熊手はつまらなく暇そうに思った。夕方の冷えた風が漫ろ熊手の首筋を通り抜けた。熊手は、そろそろ家の中に入るか…と身を縮めた。掃いても掃いても木の葉は地面の上へ降り積もっていく。期待通りに奇麗に掃き終われず、徒労と諦めた熊手は侘しい気分で家の中へと撤収した。
熊手さん、そう侘しい気分になられなくてもいいと思いますよ。いい運動になったじゃありませんかっ!^^
完




