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-65- やってしまう

 やることがあったとき、やってしまうと心地よくそのあとの動きが進むのに対し、やり残したりやらなければ、後顧に(わび)しい憂いを残すことになる。

 ━ 為せば成る 為さねば成らぬ何事も 為さぬは人の なさぬ成りけり ━

 昔からよく言われる故事だが、私の長年の経験からして、まさにその通りに思える。^^

 雲上(くもうえ)は、とある朝、昨夜思っていた作業をやってしまうか、やってしまわないかで迷っていた。というのも、空模様が疑わしく、途中で雨になれば作業を中止しなければならないからだった。しばらく物思いに暮れていた雲上だったが、ついに決断すると、重い腰を上げた。

「やってしまうか…」

 雲上がそう決断した心理は、雲上のアグレッシブさだった。

『雨になれば濡れるまで…あとで着替えて洗濯すりゃいいさ…』

 織田信長公今川勢への田楽狭間奇襲ではないものの、気分は『かかれっ~~!!』と自身を高揚させる気分だった。

 小一時間後、ほんの少しは時雨たが、そう(ひど)い雨にもならず作業をやり終えることが出来たのである。やってしまうと当然、気分は高揚する。雲上もご多分に漏れず、いい気分でその後の行動に向かえた。

 まあ、無理なことをやってしまうのはお勧め出来ませんが、出来るかどうか疑わしいことは、引かずにやってしまう方が結果はいいようです。お相撲でも、弱気になって引けば負けるケースが多いようですから…。^^


                   完

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