-59- 食べもの
食べたいときに食べものがないほど侘しいものはない。^^
煮干は出汁が出涸らしたような顔つきで空腹の腹を摩った。生憎、食料品が底をつき、食べるものがなかったからである。フゥ~~と深い溜め息を一つ吐いたあと、煮干はキッチンへ向かい、コップの水をガブガブと二杯飲んだ。
危機的な食料不足により、世界各国は食料ブロック経済へと方向転換したのである。当然、輸入によって賄われていた様々な食品は店頭から姿を消し、国民は侘しい暮らしを余儀なくされていた。我が国の食料自給率はこの時点で、すでに30%半ばを切っていたのである。
『美味いうどんもラーメンも食えんな…』
煮干の脳裏にふと、行きつけのラーメン店、豚陳軒で食べる自分の姿が甦った。
『美味かったな…』
腹を摩りながら煮干は侘しい思いで回想した。
『最近は米も買えなくなったな…』
そう思ったとき、激しい振動が起きた。そこで煮干はハッ! と目覚めた。夢を見ていたのである。ただ、煮干の腹が減っていたことは事実だった。飛び起きた煮干はキッチンへ急行しカップ麺に湯を注いだ。そのとき、食べるもののある有り難さがヒシヒシと煮干の脳裏に去来した。
ただ、煮干さんは過食症で太り過ぎでした。^^
完




