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-58- 雨が降っている間(あいだ)

 では-56-、-57-の降る前と降った(あと)(あいだ)、要するに、降っている間はどうなんだろう? ということになる。^^ それを考えれば、誰もが降っている事実を認識していることに変わりはないが、降ってるな…と気にも留めない者から、降ってやがる…とイラつく者、ノスタルジックな情緒を感じる者、(わび)しい思いに沈む者など、様々な形に分かたれることになる。私なんはか、修理した折れた傘の骨は大丈夫か…などと考える程度です。^^

 -56-、-57-に登場したとある中堅企業である。管理職の誰もがシトシトと雨粒が落ちる外を眺めながら、それぞれの思いに(ふけ)る。

「やはり降り出しましたね、課長」

 課長補佐の東雲(しののめ)が降る雨をガラス越しに眺めながら西尾に訊ねた。

「天気予報はどう言ってる?」

「のち曇り時々晴れ、ところにより雨だそうです」

「相変わらず、はっきりしない天気だな…。明日は大丈夫なんだろうね?」

「さあ、私にお訊ねになっても…」

「まあ、いい…次長に伺ってみよう」

 そう言い残すと、西尾は次長席へ向かった。

「明日は大丈夫でしょうか? 次長」

 課長の西尾が次長の黄昏(たそがれ)に訊ねた。

「天気予報はどう言ってる?」

「のち曇り時々晴れ、ところにより雨だそうです」

「相変わらず、はっきりしない天気だな…。明日は大丈夫なんだろうね?」

「さあ、私にお訊ねになっても…」

「まあ、いい…部長に伺ってみよう」

 そう言い残すと、黄昏は部長室へ向かった。

「どうします? 部長」

 次長の黄昏が部長の(あけぼの)に訊ねた。

「天気予報はどう言ってる?」

「のち曇り時々晴れ、ところにより雨だそうです」

「相変わらず、はっきりしない天気だな…。明日は大丈夫なんだろうね?」

「さあ、私にお訊ねになっても…」

「まあ、いい…専務に伺ってみよう」

 そう言い残すと、曙は専務の風花(かざばな)がいる専務室へ向かった。

 そうこうして、社長の夜霧(よぎり)が明日こそ結構しよう…と決断したとき、すでに昼前の十一時を回っていた。結局、作業は日延べとなり侘しく暮れていったのである。

 雨が降る前、雨が降っている間、雨が降った後などの状況には関係なく、物事を達成するには侘しい思いに沈まず、迅速に行動する必要があるようです。^^


                   完

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