-57- 雨が降った後(あと)
-56-の雨が降る前があれば当然、雨が降った後がある。^^ 雨が降った後の心境はどうなのか? を考えれば、人それぞれ・・と言う他はない。^^ 雨が降った後は当然、天候は回復へ向かうとしたものだ。雨が降った後、雪が舞うなんてことは、まずないだろう。まあ、冬場は霙から雪に変わる・・なんてこともあるにはあるのだが…。^^
-56-に登場したとある中堅企業である。日延べとなった作業は早朝から社員総出で開始された。自ら陣頭指揮に立つのは社長の夜霧で、こんなことは会社創立以来、初めてのことだった。夜霧は全社員の早朝出勤を社命として訓令したのである。
「どうかね?」
社屋ビルの屋上で夜霧は副社長の雲間に、それとなく訊ねた。
「はあ…」
雲間は言われた意味が理解出来ず、オブラートで苦い薬を包み込むように暈した。カプセルでないところが味噌で、古風だった。^^
「青空が少ないねぇ~。これで大丈夫なんだろうね、雲間君?」
「はあ、天気予報は晴れところにより曇り一時雨と申しておりましたが…」
「はっきりしない予報だね…」
「はい…」
「専務と相談してくれたまえ…」
「分かりました、専務と相談してみます…」
そう言い残すと、副社長の雲間はエレベーターで階下の専務室へ向かった。
「青空が少ないねぇ~。これで大丈夫なんだろうね、風花君?」
「はあ、天気予報は晴れところにより曇り一時雨と申しておりましたが…」
「だろっ!? はっきりしない予報だね…」
「はい…」
「部長と相談してくれたまえ…」
「分かりました、部長と相談してみます…」
そう言い残すと、専務の風花は部長室へと向かった。
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そうこうして、課長の西尾が課長補佐の東雲に作業の開始を指示したとき、すでに昼前の十一時を回っていた。作業は開始されたが、一時雨となったため、雨が降った後に作業は中断され、日延べとなった。そしてその日も侘しく暮れていったのである。
やはり、物事をなすには侘しい思いに至らない迅速な決断力が必要なようです。^^
完




