-54- 地球
現在、地球では、二つの新たな惨禍が起き、多くの一般国民がその犠牲となっている。
とある夜、現地から送られてきたテレビ映像を島浦は侘しい気分で観ていた。ウクライナ⇔ロシア、イスラエル⇔ガザ地区の二大惨禍のニュースである。
『地球も荒れてきたなぁ…』
今始まったことでもない世界の惨禍を、島浦は改めて思い知らされたように呟いた。竜宮城のような心地いい地球のリゾート地はないものだろうか…と、島浦は侘しい思いに沈みながら考えた。ハワイなどの一般人が思い描くリゾート地は、島浦の思い描くリゾート地ではなかったのである。人類の文明の進歩により齎された劣悪な地球環境と人類が起こす戦禍により、地球は死の星へと舵を切りつつある…。これが島浦が侘しく思い描く未来だった。
「次郎、早く降りて来なさいっ!! 夕飯よっ!」
母親の美登里が呼ぶ大声が階下より聞こえてきた。島浦は、この家にもリゾート地はないな…と侘しく思いながら重い腰を上げ、島浦は亀の背には乗らず下りて行った。キッチンで母親の作った美味い手料理を食べ始めると、島浦は地球の惨禍をすっかり忘れてしまっていた。
平和で暮らせる地球の日々に、島浦さん、感謝しましょう。^^
完




