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-47- お風呂

 月々の光熱水費を気にしながらお風呂を沸かす回数を考えるほど(わび)しいものはない。^^

 とある秋の半ばである。鍋底(なべぞこ)は間の抜けた顔で空を見上げると、指を折り始めた。

『そういや、今年の四月にお風呂を沸かして以来だ…』

 鍋穴は、『もう、五か月も入っていない…』と、指を五本折ったところで思うに至った。よしっ! 今日は沸かすかっ! と、一念発起するほどのことでもないのに一念発起した鍋底は、『お風呂に湯を張ろう…』と、風呂の(ふた)を開けようとした。すると、足長蜘蛛の子供が浴槽の片隅にいるのが垣間見えた。鍋底は『…人より蜘蛛かいっ!』と、侘しく思いながらタオルで、やんわりと蜘蛛を包み込むと窓外へ逃がしてやった。

 しばらくして、浴槽に湯が張られ、鍋底は久しぶりのお風呂に浸かった。いい気分になるのは久しぶりだな…と目を閉じて思ったとき、ふと、ニュースで流れたイスラエルやウクライナの戦禍の映像が頭を(よぎ)った。

『まあ、数ヶ月、お風呂に入れないくらいは幸せか…』

 と、健康で修羅にほど遠い小さな幸せを有難く感じた。すると、いつの間にか侘しい思いは消え去っていた。久しぶりのお風呂上りが快適だったということもある。^^

 幸せの考え方は人によって違いますが、鍋底さんのお風呂で侘しいと思わないぐらいの幸せがいいんじゃないでしょうか。^^


 ※ 後に聞いた話ですが、お風呂のお湯に青虫も死んで浮かんでいた・・ということです。いいお湯ですねっ!^^


                   完

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