-42- 柿採り
とある秋晴れの早朝である。毛宮は柿採りをしよう…と、長鋏を出して準備を始めた。今年は数えるほどしかないな…と毛宮は侘しい気分で柿の木を見つめた。遠くを見ると、他の家の柿も例年に比べて成りが悪く、オレンジ色の個数が少なく見えた。柿を仏前、神前に供えると残った柿は下に落ちたとき砕けかけた柿、一個だけだった。毛宮は、『まあ、いいか…』と思いながらその砕けた柿を剥いて頬張ったなにがいいのか? は毛宮自身にも分からなかった。^^ 頬張った瞬間、秋の味がした。干し柿用に吊るした柿は十八個だったことを思い出し、今年は三十個くらいの侘しい成りだ…と毛宮はまた思った。
『今年は暑かったからなぁ…』
毛宮は暑かった夏を思い出した。フゥ~フゥ~と汗を拭きながら炎天下の外からクーラーが効いた家の中へ飛び込んだ瞬間の記憶が頭を過った。身体を充分に冷やしておいたとしても、外へ出られるのは、せいぜい十分だな…と思えた。外は熱風+炎天下⇔内は冷気で快適になった室内・・そのギャップを肌に感じたのである。『こうして、秋も深まっていくか…』と、毛宮は侘しく思った。
秋が侘しいのは毛宮さんだけではないのですから、戦禍のない平和な我が国の秋を有り難く過ごしましょう。^^
完




