-28- 貧富の差
貧乏者と大金持ちは紙一重で、貧しいからと侘しく考える必要はなさそうだ。貧しい結果、幸せになるケースもあり、豊かなばかりに、不幸に陥るケースも生じるのである。世の中は、そう甘くは出来ていないのだ。^^
芋山は美味そうなホクホクした蒸し芋顔で確定申告を終え、税務署を出た。芋山家は課税対象額が課税額より少なく、住民税非課税世帯として毎年、役所に認められていた。一方の猪村家は数億の年間所得があり、毎年、課税額にビクつきながら申告期を迎えていた。そして今年もかなりの課税額を支払わねばならないだろう…と足取り重く侘しい顔で税務署を出た。
「やあ、お久しぶりです。猪村さんじゃないですかっ!」
「ああ、芋山さんでしたか…」
知り合いの芋山に背後から明るい声をかけられた猪村は、思わず振り返り、暗く侘しい声で返した。
「猪村さんとこはいいですな、お金に不自由されなくて…。私の家なんか火の車ですよ、ははは…」
「火の車ですか? いいですなぁ。私の家は水の中ですよ」
「備中、高松城ですな。水攻めされてますか…」
「ええ、高い税金に…」
それを聞いた芋山は貧しくてよかった…と、しみじみ思った。
豊かだから必ず幸せになれるという保証はなく、返って不幸になる場合もあり、貧富の差をそう侘しく思う必要はない訳です。^^
完




