-20- 通院
荒星は数年前から通院を始め、今現在も通っている。完璧に治らない肋間神経痛に悩まされ続けていたのである。診察や治療を受け、薬をもらっての帰りはそうでもなかったが、これから病院へ向かう気分は、なぜか侘しい荒星だった。
「先生、もう随分になりますが、治るんでしょうか?」
「そりゃ、あなた。治らないならココへ来てる意味がないでしょ」
「はあ。そりゃまあ、そうですが…」
プロだけあって、医者は患者の捌き方を心得ていたから、荒星は頷く他はなかった。
「自宅で出来る治療方法とかは何かないんですか?」
「出されたお薬を忘れずお飲みになることですかな、ははは…」
なにが、あはは…だっ! と荒星は怒れたが、そうとも言えず、小さく哂って暈し、誤魔化した。
「お大事に…」
薬を薬局でもらうと、荒星は帰途に着いた。荒星にとって通院は、やはり侘しい気分にした。
『帰りにアノ店のラーメンでも食うか…』
荒星は、ふと行きつけの美味いラーメンの味を思い出した。すると、たちまち侘しい気分が荒星の脳裏から消え去った。不思議と言えば不思議だった。
通院で起こる侘しい気分は美味いモノには弱いようです。^^
完




