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-13- 休日
休日のはずが休めなくなった島尾は、侘しい思いで通勤電車に乗り込んだ。実はこの日、楽しみにしていた釣り講座の釣り堀実習に出かけるつもりだったのである。
『すまんねっ! 島尾君、そういうことだから…』
課長の竹崎に電話でそう言われ、仕方なく出勤する破目になったのだ。同僚の帯谷が倒れた代替え要員である。地下鉄に揺られながら、休日は労働者の権利だっ! と訳の分からない愚痴を脳裏に浮かべ、島尾は会社へと向かった。ところが、この日の釣り講座は講師の都合で来週に順延になっていたのである。その事実を帰ってから電話で知った島尾の浮かれようは半端ではなかった。
『世の中、先々、何がどうなるか分からんものだな…』
それ以降、島尾は休日にならなくても侘しく思わないことにした。侘しいことも侘しくなくなり、侘しくないことが侘しいことになる・・それが世の中だと痛感したからである。
生きていく上で、休日とは侘しい気分を忘れる睡眠中だけのようです。^^
完




