-100- 終り
この短編集も、いよいよ終りのお話となってしまった。ドラマにしろ映画にしろ、現実の物事にしろ、終りというのは、なぜか侘しい思いに駆られるものだ。歳末の大晦日を考えれば、その年がラストということで、どこか侘しい気分にさせられる。だが、除夜の鐘が撞かれ、年が改まった瞬間、その気分が嘘のように消え去り、おめでとう! と変化するのには驚く。また一歩、冥土に近づくというのに、何がお目出度いのか? お訊ねしたいくらいのものだ。^^
とある市役所である。今年も平職員の金目は忘年会の余興で職員達に美味そうに笑われ、鯛のように食われていた。美味そうに食われることで、金目の評価はより一層、高まっていたのである。ただ、その評価は仕事面ではなく、雰囲気だった。金目がいることで職場の雰囲気が明るくなったからである。^^
「ははは…愉快、愉快っ! 金目君、来年も頼むよっ!」
「は、はいっ!」
上司の課長、盃にポンっ! と肩を叩かれ、金目は思わず空返事をしていた。忘年会も終り、家へ帰った金目は、これで、いいんだろうか? と、出世レースと関係ない高値の評価に侘しい気分に苛まれるのだった。
金目さん、それでいいんですよ。それでいいんですっ!^^
完




