実用的でない姉妹はもてなかったって話
何ともならない現実です。
こうなったら、せめて楽しく言葉を紡ぐ。
読んでくださる方がひと時でも笑ってくださったら光栄です。
私は妹と暮らしている。
妹は今時珍しいOL稼業。
私はそのヒモと言ったらいいか、持病があって妹に養われている状態だ。
家は死んだ両親が残してくれた古い一軒家。
私の仕事は家事全般と、時折舞い込む内職、それに妹の機嫌を取ることだ。
妹は、私が言うのもどうかと思うが、私と違って美しい。
体つきは華奢で、物腰はゆったりと優雅で、長く白い指や首はおよそこの世の仕事という仕事に相応しくなく、浮世離れしており実用的ではない。
古典的OL稼業がやっと務まるほどの精神と肉体。
他の仕事をしたら一週間で病気になってしまうだろう。
かく言う私も、血は争えず、転職したらあっさりうつ病にかかってこのありさまなのだが。
何故二人とも嫁に行かなかった?
と、世間の人は疑問に思い憤慨すらするだろう。
女が大した仕事もせず結婚もしなかったのは、この少子化の時代、社会悪に近い存在だと糾弾する向きもあるかもしれない。
二人とも自然の成り行きに従った結果こうなっただけなのだが、事実は結婚生活に耐える神経を持ち合わせていなかった、と言うことかもしれない。
結婚。
夫と言うでかい動物とねぐらを一緒にして暮らさなければいけない修行。
もしかすると、一人や二人では済まないその子供すらできてしまうかもしれない運命。
それを考えると、若いころから私たち二人はその重圧に青ざめたものだ。
出来る気がしなかったからだ。
何しろ甘やかされて育っている。
結婚生活の基本は家事だ。
お弁当と言えば、省力的に白いご飯に納豆パックを持っていくことしか発想がなかった私たちに、世にも愛する夫のためとはいえ、七色の愛妻弁当を毎日こしらることが可能だろうか。
トイレ掃除をしたことのなかった私たちが、ただ籍を入れたからと言って、翌日からそつなくブラシを握ることが出来るだろうか。
ああそれに生ごみの処理や魚のあら。
あれは大いなる心理的負担なしに、片付けることが出来ない。
まず、それを見て考える。
次に、それが増えていくのを見て考える。
そして、それが匂いを発するのを知って本当に考える。
最後に、生きるべきか家を出るべきかという状態になって初めて、何とかしなくてはと気づく私たちなのであった。
そもそも居心地が良いことを愛する私たちは掃除と言う概念がない。
まあつぶさにどういう状態で住んでいるかをお伝えするのは非常にはばかられるので想像にお任せすることにするけど。
かつて恋はしなかったのか?
と尋ねられれば、いやそんなことはなかったように思う。
私は恋には盲目的になる質で、熱情のあまり喧嘩ばかりし、妹は妹で、その身に相応しくロマンチックな逸話を求めるあまりに、現実的な事柄からかけ離れる方向性に走っただけだ。
つまり私は下品すぎて、相手にされず、妹は優雅すぎて実生活を共にするには敬して遠ざけられたのだ。
さあ、これから本格的な物語を作っていく予定です。
いろんな展開が考えられるのでよろしくお願いいたします!
でも不定期更新です。
無理なくやります。初心ですので。