絵に描いたような喫茶店
祐一さんの夢は喫茶店のオーナー。
私は、入社二年目のお仕事を辞めたばかり。
中学生までは、化学や理科が空きだった。
高校では、同級生が学校に交渉して作った新規の必須クラブを選択して、二年目には部活に昇格した「漫研」の部員になった。
設立三年目の新設高だったので、勉強もせずに入学できたと、漫研の部長になった同級生は、笑って言った。
部活の設立が流行りで、「マンガ研究会」を作ったけれど、顧問になってくれた先生の提案を受け入れて、部活の活動費は出ないけれど、設立が簡単な「必須クラブ」を選択したのだと教えてくれた。
もちろん「必須クラブ」なので、週に一度は、授業時間の割当ての中での活動をする。
授業中に、なんの制約も受けずに、マンガを描いたり、読んだりしていたし、本人には自覚がないようだが、ちょっとだけヒーローであり、彼に好意を抱いている生徒が数人はいた。
その彼は、大学に進み、宗教に走り、体調を悪くして帰郷したのち、いくつかの職業を経て、飲食店のオーナーになった。
コーヒーの業界は波がある。
どの職業でも同じかもしれないけど、細々(ほそぼそ)と営んでいる店でも、流行りが来ると、じわじわとお客が集まるようになる。
彼の店は、彼が強い嗜好でこだわり続けたコーヒーが評判なので、徐々に純喫茶のような色合いを帯びてくる。
父親の遺産のお陰で、地味だが、落ち着いた内装に変更してからは、常連さんも増えている。




