救助
あれから大変であった。
神炎騎士団を総動員して、歯に仕込まれている毒があるのか確認し、順番に暗示が解けているのか確認していった。
「夜が明けてしまったな」
「そうだね。でも良かったね。ネットが死んで暗示も解けたみたいだしね♪」
レグルスはミリアと会話をしながら周囲を見渡すとちょっとしたカオスになっていた。
脅されていたとはいえ、同胞を裏切っていた者で自責の念に駆られる者や最愛の女性を拐われた事件に、親友が関わっていた事で喧嘩が始まったりなど騒がしかった。
「エルミア、フェンリー正直な所、族長の二人が居たほうがいいのだろうが、着いてきて欲しい」
レグルスの声掛けに従順に応じる二人だった。
「何処へ行くんだ?」
「当然、港町へ強行して拐われた者を救い出す!」
!?
この騒ぎを抑えるのに集中していて忘れていた。レグルスは大声で叫んだ。
「聞け!我々、神炎騎士団は拐われた女性を救い出しに向かう!拐われた女性達は東の港町からインペリアル国に運ばれると言う事がわかっている。インペリアル国に運ばれると救い出すのが難しくなる!船が出航する前に1人でも多くの女性を救い出すつもりだ」
レグルスはここで一息入れて周囲を見渡した。
「…………お前達は何をやっている?」
ビクッ
レグルスの殺気のこもった低い声に震えた。
「お前達が今、やる事はなんだ!ここで罪悪感に押し潰されて震えることか?誘拐に手を貸していた仲間を糾弾することか?違うだろう!拐われた女性達を救う事だ!違うか!?」
辺りはシーンとなった。
「人間と違って獣人族やエルフ族は種族としての仲間意識が強いと聞いていたが、とんだ勘違いだったようだ。拐われた女性は今もどんな目に遭っているのかわからないのに、くだらない事で時間を使わせやがって!お前達はずっとここで騒いでいろっ!救出は我々だけでやる!」
レグルスは行くぞっと仲間と一緒にその場を放置して出ていった。
「レグルス君、どうするの?」
「神炎騎士団の仲間に用意して貰った馬で向かう。船が出航してしまったらどうにもならないからな。時間との勝負だ。1人でも多くの拐われた人達を助け出すぞ!」
オオオオッ!!!!!!
馬に乗り急いで港町へ向かうのだった。
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レグルス達が行ってから辺りは静まり返っていた。
「……………情けないな」
「ええ、本当に情けないわね」
二人の族長が呟いた。
着いてこいと言われたが、着いて行けなかったのだ。
「は、はははは!情けな過ぎて何も言葉が出てこないぞ!」
フェンリーは、から笑いをしながら仲間達を見た。
「お前達、私は生まれてから今以上に情けない気持ちになった事はない。だが、私も同罪だ。自分が情けなくて悔しい。これも私が不甲斐ないからだ」
エルミアも同じく同意した。
周囲の視線が集まる。
「私は、今回の件の責任を取って族長の座を降りる。後任は里の者を呼んで決めるつもりだ。理由はわかるな?」
この街の者は信用できないと言っているのだ。
「そして私は勇者殿に着いていくつもりだ。あの方は凄い。わずか数日でこの事件を解決に導いた。あの方の元で再度、自分を鍛え直す!」
エルミアも追従する形で皆の同意を求めた。そして──




