チャンス
ネットが兵士に命じた。
「さぁ!お前達!目の前の族長及び、勇者を抹殺しろ!」
ネットの連れてきた兵士が一斉に襲ってきた。
「メビウス!今だ!!!」
「ああ、準備は出来ているぞ!」
!?
すでにメビウスが魔法の準備をしていた。
「深淵なる眠りを与えん。『スリープクラウド』!」
レグルス達を中心に黒い煙が発生し、周囲に充満した。ネットが叫ぶ前に煙が充満し、バタバタと兵士達が倒れていった。裏通りで密集しており、煙が逃げない事も効果を高めていた。
「れ、レグルス殿!いったい何処まで読んでいたんだ?」
倒れた兵士を見て、怯えを含んだ声でフェンリーが尋ねた。
「さぁね。ただ、最悪の事態を想定して複数の手を準備していただけだよ」
サラッと伝えるレグルスに畏怖の念の籠もった目で見つめた。
「ば、バカな…………」
兵士が前に出て、後方に位置していたネットと数人の配下の兵士達は呆然としていた。
流石のネットも想定外だったらしく焦りが見え始めた。
「さて、どうする?」
ジリジリッと後退るネットにレグルスは神剣を呼び出してプレッシャーを掛けた。
「う、動くな!私が命じれば傀儡の者達を死なせる事ができるのだぞ!」
レグルスは知っていた。それが嘘だと。
「へぇ?ならやって見てくれ。正直、僕には関係ないから」
ジリジリッ
「嘘だと思っているのか!」
「うん」
!?
「まぁ、嘘でなくて本当でもどっちでもいいよ。神炎騎士団には関係ないから。それより、お前を逃がすのが問題だ」
さらに詰め寄るレグルスに、ネットは数少ない兵に命じた。
「お前達!勇者を殺せっ!」
兵士達がレグルスに向かうと同時にネットは後ろを向いて駆け出した。
「ふ、フフフッ!ここを逃げ切れば俺を勝ちだ!また、時間を掛けて傀儡を増やしてっ───えっ?」
急に視界が反転した事に呆気に取られた。
ゴロン
ネットは最後に自分の首が飛んだ事を知ったのだった。
一太刀でネットの兵士を昏倒させたレグルスは向こうを見て言った。
「ご苦労さま」
「乙かれー!」
イェーイ!
と、手をパンッと打った。
「あれ?リタかい?」
「ハイっす!メビウスさん、お疲れ様です。てか、私まで眠る所でしたよっ!」
プンプンと怒るリタとメビウスを見ながらフェンリーとエルミアが状況を理解できなく、またまた呆けていた。
「…………なぁ、取り敢えず休戦しないか?」
「ええ、レグルス殿だけは敵に廻してはいけないわ。いがみ合いを止めて勇者殿に協力するべきね」
敵に廻してはいけない相手と認識し、種族同士のいがみ合いを止めようと思う二人だった。




