深夜の攻防
夜の闇が深まった頃──
とある裏地に複数人の気配があった。
「よし、上手くいったな」
黒いフードを被った男が呟いた。
「すぐにスキルを使う。マンホールを開けてくれ」
意識のないエルフの女性が側に倒れており、運び出す準備をしていた。
「そこまでだ!!!」
!?
突然、ライトが照らされた。
「バカな!?どうしてバレた!」
誘拐犯がスキルを使ったが、彼のスキルは闇に同化するスキルであり、光に照らされている状態では効果が無かった。
2人はマンホールを開けて下水道に逃げようとしたが───
「逃さない!」
その場に現れたエルフのエルミアが神速の弓矢を射って誘拐犯の足を貫いた。
「グワッ!?」
その場で倒れ込む誘拐犯を獣人のフェンリーが取り押さえた。
「ようやく捕まえたぞっ!」
倒れた誘拐犯を地面に踏み潰すように足蹴りにすると鋭い爪を突き立てた。
「よくも今まで仲間を拐ってくれたな!どこに連れ去ったか吐いて貰うぞ!」
フェンリーは2人のフードを取った。
!?
「バカな!?」
フェンリーは驚いた。
犯人が獣人族だったからだ。
「やっぱり女神様の神託は正しかった。この責任をどうとってくれるのだ!」
ここぞとばかりにエルミアがフェンリーを糾弾しようとした時、もう1人の誘拐犯の姿も明らかになった。
「そ、そんなばかな!?」
もう1人の誘拐犯はエルフだった。
動揺する2人に、静かに歩いてくるレグルスが言った。
「さて、積もる話は後にして貰うぞ。誘拐犯よ、誰の指示で動いていた?」
レグルスは今すぐ殺すという意思の殺気を放って言った。
「な、なんの話だ?これは我々が計画した──」
ザシュッ!!!
!?
レグルスは誘拐犯の腕を斬り落とした。
「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
痛みに吠える誘拐犯をレグルスは腹を蹴り気絶させると口に手を入れた。
『確か、教わったやり方だと…………』
周囲はレグルスが何をやっているのか分からず、ハラハラしながら見ていたが──
「おっ、取れた」
レグルスは手に握ったものをみてニヤリとした。
「さて、もう1人は気絶させるだけで良さそうだな」
呆然と見ている誘拐犯をみて、レグルスは気絶させると同じ事をした。
「ミリア、治療を頼む」
治療を頼むと、その間に何をしたのか説明した。
「レグルス殿、一体何をしたんだ?」
「知り合いから、こういう間者は歯に毒を仕込んでいると聞いたから、歯ごと毒を抜いたんだ」
!?
「そ、それは………」
手に持った歯を見せると、何か色の違う石膏が塗られていた。
「歯でかなり噛まないと漏れないようになっているようだな。これで、行方不明者の居場所を聞き出せるよ。因みに、先に腕を切り飛ばしたのはヤケを起こして毒を飲ませないためだ。痛みでそれどころではなくなるし、もう1人も呆然としてスキができたしな」
手際の良いレグルスの行動に、驚きを隠せないエルミアとフェンリーだった。




