商人達の終焉
道中、ナニワの中では襲撃は無かった。
殆どの商店街は閉まっており、家の中から神炎騎士団の進軍を見守るだけであった。
「つまらんな。我々を罵倒する者すら出てこないか」
ジャンヌ団長の呟きにレグルスは答えた。
「普通ではないですか。下手に逆らって殺されたりするのは恐いでしょうしね」
「普通に侵略された村や街なら、石を投げたり、武器を持って向かって来たりするものだ。それすら無いと言う事は、誰もこの街に愛着がないと言うこと。自分達の生活がそのままなら、トップが代わっても問題ないと考えているんだろう」
「なるほど。言い替えれば、良い条件を提示すれば簡単に裏切ると言う事ですね。まさに商人の街って訳だ」
「ふっ、レグルスも皮肉が言えるようになったではないか」
無駄口を話ながらも、警戒を解かずに進軍し、商人議会堂に到着した。
門にはすでにリード達の傭兵団が抑えていた。
「お待ちしておりました。すでに団長達が、主要な商人達を議会堂に閉じ込めております」
戦闘が始まる前に、ジャンヌの指示は議会堂にいる商人達を捕まえる事だった。
戦況が悪くなれば、流石の商人達も、荷物を置いて逃げ出すとわかっていたからだ。
ジャンヌ達は堂々と中に入っていった。
バンッ!!!
大きな扉が開かれると、中にいた商人達の視線がジャンヌに集中した。
「うむ、揃っているな?1番居て欲しかった人物もいるようだし、傭兵達は素晴らしい仕事をシテくれた」
ジャンヌは議長であり、町長でもあるカーネルを見据えていった。
「…………見事だ。ワシより一手先を読むとはな」
他の商人達と違い、状況をしっかりとハアクしているカーネルが言った。
「貴様には色々と聞きたい事がある。素直に答えてくれるか?」
「ふん、我々が大陸中で火種をばら撒いていた事か?それを知って、公開してどうなる?我々は傭兵団に仕事を与えていたに過ぎない」
「それがこの大陸で戦争が無くならない大きな理由の1つだ。私はこの大陸から戦争を無くす為に行動している」
カーネルは突然笑い出した。
「わっはははははっ!!!!大陸から、世界から戦争が無くなる事はない!そんな事もわからん小娘だったとは笑わせる!」
「いや、十分に知っているさ。この大陸を統一し、一時的でも戦争を無くす!また戦乱の世が訪れようとも、それは過去に大陸を統一し、戦乱の世を終わらせた者がいると言う道しるべになる。私は後の世の布石になれば良いのだ」
ジャンヌの言葉にカーネルは無言になった。
「…………その戦争を無くす為に、何万もの敵兵の命を奪う事になってもか?」
「その覚悟はとうに出来ている!」
「黙れ!貴様こそが、この大陸の秩序を乱す悪魔だと知れっ!」
これまで冷静だったカーネルが吠えた。




