ナニワへ
神炎騎士団は怪我人を砦の防衛に残し進軍を開始した。
それに慌てたのがナニワの主要達であった。ナニワの主要人物達は神炎騎士団が攻めてくるとは夢にも思っていなかったのだ。
時間を掛けて大陸に散っていた傭兵団を集めて一気に西側へ攻め入る算段だったからだ。
しかし、ここにナニワの思惑が外れる事があった。大陸に散っている傭兵団が思うように集まらなかったのだ。
傭兵団にしては当然なのだが、商人の護衛とかはともかく、戦地で戦っている大規模な傭兵団は、いくらお得意様のナニワがピンチといっても、戦場を早々に離れる訳ではないのだ。
ナニワの傭兵を見下す風習が、どんな時でもナニワを最優先にやってくると、現場を知らない素人が思ってしまったのだ。
「どうなっている!神炎騎士団がナニワを制圧しに向かっていると情報が入ったのだぞ!傭兵達はどうした!?」
今になって自分達が窮地に立たされていると気付き焦る商人達。
必要最低限の荷物を持って、東か、南に逃げれば助かっただろうが、殆どの主要メンバーの商人達は、ナニワに本店を置いており、商品を持って逃げる事は不可能であった。
「議長、カーネル殿!どうするおつもりかっ!?」
商人議会の長にして、このナニワの市長であるカーネルに視線が集中した。
「落ち着くのだ。まず、このナニワに集まった傭兵団は1万5千ほど。敗走して戻ってきたリーガル傭兵団とブレイク傭兵団は約2万の数がいる。今一度、金を渡して戦わせる。そして時間を稼いでいる間に、大陸に散らばった傭兵団に早く戻ってくるよう催促の伝令を出すのだ」
カーネルは齢60の還暦の老人ではあったが、その鋭い眼光は商人達を纏めるには十分な貫禄があった。
表向きは良心的な商人と知られているが、裏では、前聖王と同種な男であった。
「お、おお!確かにそれならば何とかなりますな!」
「しかし、後1手何か欲しいですわね。神炎騎士団に交渉を持ち掛けては如何でしょうか?」
女の商人が提案した。
「交渉とは何を交渉するんだ?」
「もし、ナニワを攻撃すれば、大陸中が敵になると正論で説き伏せるのです。更には、ナニワから経済制裁を行い、民衆の支持を失うともいえば、向こうも躊躇するでしょう」
なるほど!
この案は採用され、使者が向かう事になった。
しかし、商人達はジャンヌ・ダルクと言う人物を甘く見ていた。
ジャンヌがどんな信念と覚悟の元で兵を出しているのか考えてもいなかった。
結局、使者は時間稼ぎも出来ず、とんぼ帰りをするハメになる。
ジャンヌが、現議会メンバーの商人達を皆殺しにすると言う言葉を伝えるように戻るのだった。




