商人の街ナニワ
二人の傭兵団の団長が頭を悩ませている時、ナニワの中央にある。【商人議会堂】にて、ナニワでも一際の有力者達の会議が行われていた。
「まったく役に立たない傭兵達だったな」
「ええ、そうですわね。3部隊もの傭兵団を送り込んだのに、国境砦すら落とせないなんて、期待外れでしたわね」
「最近、名の売れていた傭兵団達だったのですがね。ヨド傭兵団は個々の力が強いが戦略立案に難があるため、リーガル傭兵団が後ろに着いてうまく廻していたのだがね。更に、大陸でも無類の強さを誇るブレイク傭兵団まで後詰めにやったのだが、所詮は傭兵と言う所でしょう」
自分達を守ってくれる傭兵団を明らかに見下している商人達であった。
「しかし、これからどうする?宣戦布告はなされてしまったのだ。これでおしまいと言う訳にもいくまい?」
「これで手打ちとしてしまえば、我々は大損してしまうぞ!早く次なる傭兵団を差し向けろ!」
ガヤガヤ
ガヤガヤ
このナニワの意思を決定する議会は紛糾していた。しかし、どこか焦りはなかった。
彼らは知っているからだ。
永久中立都市ナニワが襲われることがないという事を。
このナニワを襲えば、大陸中から批判され、各支店は封鎖されて物が買えなくなる。
更には、周辺の国々からも軍を差し向けられる可能性があるからだ。大陸中央を抑えられると、大陸中の物流がマヒしてしまうため、長い間、ナニワは『不可侵』である事が暗黙の了承となっていた。
故に、こちらから攻める事は出来ても、攻められる事はないと本気で思っているのだ。
まぁ、今までは『裏』で争いの火種をバラ撒き、武器や物資を売って大儲けしていたのだが。
『表』から戦を仕掛けるには【大義名分】が無ければならないため、今までは国として動いた事はなかった。それが今回、西の盟主国が聖王が討れて、乗っとられるという大義名分があったため、宣戦布告をしたのだ。
商人達の強欲が生んだ戦争でもあるのだが。
商人達は知らなかった。
この宣戦布告を出した本当の意味を。
戦争を金儲けの道具としか思っていなかった商人達は『本当の意味』での戦争を甘く見ていた事に、まだ気付いていなかった。
もし負ければ全てを失う以前に、自分の命が無くなると言うことに気付く者はいなかった。




