謎の提案
突如現れた黒いローブの女?に最大限の警戒をする二人。
『妙だな。テントの中とはいえ、声が外に届かない訳がない。何か仕掛けてあるのか?』
テントの外には仲間の傭兵達が多くいる。異変を感じればすぐに飛び込んでくるだろう。
しかし、それがない。
リードとブレークはお互いに視線を交わし、油断せずに目の前の人物に意識を集中した。
「もう一度言います。私に敵意はありません。私は提案を持ってきた使者です」
黒いローブを纏った人物は膝を着いて頭を下げた。
「貴様は何者だ?」
「私には多くを語る『権限』はありません。我が主君より、信書をお持ち致しました」
掲げる様に、懐から出した丸めてある手紙を二人に差し出した。
「拝見しよう」
ブレークは剣を構えたまま待機し、リードが慎重に信書を受け取った。
少し後ろに下がり、その信書を広げると、リードは驚いた顔をした。
ブレークはローブの女から視線を逸らさず尋ねる。
「リード、何が書いてあった?」
ブレークはまだ目の前の人物を信用しておらず、油断せず構えているためリードに尋ねたのだった。
「剣を降ろせ。コイツは大丈夫だ。お前も呼んでみろ」
理に信書を渡されると、少し戸惑ったが目を通した。
!?
「おいおい……………こいつぁ、どこまで『先を読んで』いるんだ?」
「知らねぇよ。しかし………仲間の為に俺の気持ちは殺さないといけないな…………」
信書にはブレーク達のこれからの行動が書かれていたのだ。その行動を使者の主君が自分の言う通りに動けと言ってきたのだ。
正直、敵に廻したくない相手だった。
せめてもの反論で、見返りを求めた。
「それでお前の主君様の言う通りに動けば、どんな御褒美が貰えるんだ?」
実に傭兵の問い掛けであった。
利益が無ければ動かない。
その答えの使者の言葉は短かった。
「…………正規兵として雇うと」
!?
「約2万もの傭兵達をか?」
「これから大陸中を巻き込む大戦争を起こすので、兵力は多いに越したことはないと仰っていました」
使者の言葉に二人は絶句した。
まだまだ戦争は続くと言っているのだ。
「それで正規兵として雇いたいと言うのか」
正直悩む提案であった。
傭兵としては仕事が無ければ食べていけない。
しかし、正規兵として雇われれば給金が貰える。安定した金銭が貰えるのは、傭兵にとって有り難い話なのだった。
「今すぐ返事は出さなくて良いと伺っております。次のナニワ攻防戦で、行動で示して下さい」
黒いローブの女はそう言うと堂々とテントから出ていった。
「また、厄介な話が舞い込んできたな」
「ああ、しかも提案が悪くない所が厄介だな」
これからどう動くかで自分達の命運が変わる事をヒシヒシと感じていた二人だった。




