隠し玉
翌朝、ジャンヌは敵の様子を見るために、定石とも言える砦に籠もって対応した。
「討ってでなくて正解だったな。ブレイク傭兵団も混じって攻めてきている。しかし、奴らは対人戦闘は得意でも、城壁を攻めるのは経験が少ないはずだ。徹底的に戦力を削れ!」
長梯子を掛けて登ってくる敵傭兵団を投石や弓矢で応戦した。
「奴らの気迫が昨日までとは違う!これはマズイぞ!」
サイファーは危機感を感じ、砦の城壁にいる兵力を増援した。
「ジャンヌ団長!このままでは──」
戦況がマズイ事をお伝えしようとジャンヌの元え向かうと、すでに城門を開けようとしている所だった。
「ああ、わかっている。今から討ってでる!敵を混乱させたらすぐに戻ってくる!」
騎馬に乗り、500百の兵で飛び出していった。
「ば、バカな!この兵力差で飛び出すなんて自殺行為だぞっ!?」
サイファーが止める術もなく、飛び出したジャンヌを見送った。
「じ、城門を死守せよ!ジャンヌ団長が戻るまで敵兵を入れるな!!!」
慌てて周辺の兵力で防衛を固めるのだった。
一方のジャンヌ達は、騎馬隊で砦を一周するように、敵の側面から突撃を敢行し、敵の攻撃を撹乱する事に成功していた。
「むっ!?レグルス、バルド殿!着いてこい!」
このまま城門に戻るコースで、ジャンヌ団長が場所を変えた。
「ちょっ!?砦に戻れなくなりますよ!?」
「大丈夫だ!それより敵の幕僚テントに突撃するぞ!」
大将などが集まっている後方の大きなテントに向かって馬を走らせた。
「おいおい!正気か!?」
もし馬をやられれば、敵の本陣に置き去りにされる事になる。しかし、敵の総大将を討てれば大金星である。
砦攻めで守備の少ない本陣に奇襲を仕掛けたのだった。
ザシュ!!!?
!?
「ジャンヌ団長!?」
「チッ、誰もいないか」
団長クラスは勿論、他の指揮官クラスも居なかった。
「やられました!恐らく敵の主力は空いた城門に向かっているはず!」
「俺達主力がいない所に攻めてるって訳か?急いで戻ろうぜっ!」
焦るレグルス達にジャンヌは戻らないと言った。
「いや、まだ馬も疲れていない。このまま、後方より敵に突撃する!」
「正気ですか!城門が空いているんですよ!?砦が落とされてしまいます!」
必死に訴えるレグルスを余所に、ジャンヌは不敵に微笑むのだった。
「大丈夫だ。手は打ってある。楽しみにしてるがいい」
「ジャンヌ団長…………」
不敵に笑うジャンヌに一抹の不安が消えないレグルスであった。




