大陸中央へ
西側から大陸中央に向かうには、大きな山があるため、北と南に別れる。
しかし、北には湿地帯が広がっており、泥濘みに脚を取られる為、殆どの場合は南の行路を使う。
神炎騎士団は再編して、一部の騎士団を取り入れ、低下した兵力を回復していた。その数は2万まで膨れ上がっていた。
「国境砦にて伝令が届きました。敵傭兵団の数は現時点で2万とのこと。すでに戦闘が始まっているそうです!」
!?
「ジャンヌ団長!?」
「ああ、わかっている!思ったより敵の動きが早い。前もって傭兵団を集めていたようだな。急ぐぞ!」
国境砦には1万の兵が詰めていた。
すでに戦闘が始まり、長梯子を掛けられ、敵の侵入を防ごうと攻防が繰り広げられていた。
「怯むなーーーー!!!!!すでに神炎騎士団の援軍が向かっている!もう少し耐え忍ぶのだ!!!」
国境砦を守る隊長サイファー・オルクスは仲間達を鼓舞していた。
「よし!城門を開けろ!」
!?
「正気ですか!?この状況で城門を開ければ敵が雪崩れ込んできますよ!」
「構わん!すでに対策済みだ!」
サイファー隊長の命令で城門が開かれた。
案の定、敵兵が雪崩れ込んだ。
しかし、入口に入ってすぐの所に、拒馬の柵が設置されており、さらに、障害物が積められて進めなくなっていた。そこに3方向から弓隊の弓が射られてきた。
「グワッ!?」
「ギャッ!??」
「ひ、ひけ──がっ!?」
あっという間に、入口には敵兵の屍が築き上がった。
「よし!城門を閉めるのだっ!」
また城門が閉められる事になった。
城門が開かれた事により、敵の戦力が城門に集まり、城壁に登ろうとしていた敵兵の数が減った。
その間に、長梯子を壊したり、後ろに倒したりと態勢を整えるのだった。
その様子を忌々しいと言う顔で見ていた人物がいた。
ナニワより、先陣を切る事を指示された傭兵団の1つ、『ヨド傭兵団』団長グールだった。
「クソッが!どうしてこんなに手強いんだ!楽に落とせると思っていたのによ!?」
イライラして、その場にあった物を壊した。
「クククッ、ヨド傭兵団が無理なら、我々が代わろうか?」
「うるさい!もう少し待っていろ!」
この戦争には複数の傭兵団が参加している。
一枚岩ではないのだ。
どの傭兵団も手柄を立てて、報奨を多く貰おうと狙っている。
それでもお互いに命を掛けているので、あから様な足の引っ張り合いはしなかった。それは傭兵団同士の暗黙の了解であった。
万が一でも、そのような不義をすれば、自分達も同じ事をされるからだ。
しかし、聖王国の王都から離れている国境砦にどうしてこのような有能な指揮官が辺境にいるのかと言うと、全ては死んだ聖王のせいであった。




