宣戦布告
レグルス達は治安の悪くなった聖王国の各地を廻り、治安維持に務めた。
そして、幾つかの街や村を廻っている時、伝令が届いた。
「聖王国を出てからニ週間か~そろそろ何かあるかと思ったけど…………」
伝令の手紙には中央の大陸最大の独立都市ナニワにて、宣戦布告が届けられたと言うものであった。大陸を移動するときには、中央のナニワを通らなければ行けなく、大陸の全ての物が集まると言われていた。
「ナニワは貿易都市で町長が王様の役目をしているんだろ?どうしてうちに宣戦布告をしてきたんだ?」
レグルスは素朴な疑問を口にした。この数ヶ月で大陸の事を勉強した結果だった。
「だからだよレグルス。商人の国なんだ。どの国より強欲なんだよ」
一緒にいたメビウスが答えた。
「今までは前聖王国が金をばら撒いて、表向きは友好国として付き合っていたにだが、団長が聖王になってからは、賄賂も止まり、無駄な買い物も止めたから、大損した腹いせに宣戦布告をしたのだろうね」
あの清廉潔白な団長らしいと思った。
「でも、団長の事だから、ワザと交易を減らした可能性があるな」
「それはどうして────あっ!?」
聞き直そうして思いたった。
「向こうから宣戦布告させるためにか!?大義名分が無ければ、新しい聖王に民が付いてこないからだ!」
「多分ね。ただでさえ、不正を正して動かせるお金が増えたのに、交易を減らすなんてそれくらいしか思い付かないしね」
「ジャンヌ殿が聖王になって良かったぜ。約束を守ってくれたからな」
バルドが口を挟んだ。
「ジャンヌ団長は義理堅いですからね」
ジャンヌは今までのお詫びも兼ねてバルド族の国に、大量の食料や生活物資を送っっていた。中抜きしていた悪徳貴族を追い出し、聖王になったジャンヌに意見できるものがいなかったのも大きかった。
雑談をしながら久しぶりに王都へ帰還するレグルス達であった。
「さて、久しぶりだな。聖王国はどうだった?」
ジャンヌはレグルスに尋ねた。
「良くも悪くも宗教の国って感じでした。民の多くは信者で貧しくとも、心豊かに暮らしている印象でした。ただ、不正を働く聖職者や貴族達のいつもの言葉は、神のためにという自分に都合のよい言い分のみ言ってましたね」
どこの国でも辺境になれば、目が届き難くなる。レグルス達は治安維持以外に、各街や村の執政官の監査も兼ねて廻っていたのだ。
「しかし、多少の不正は何処でもあるでしょうが、ここまでとは正直、よく国が持っていたと言わざるおえませんね」
どこの街でも、看破できない不正があり、いつも貧しい民達にしわ寄せが行っていた。
「ただこれだけ貴族達を更迭しては、内乱も警戒しなければなりませんね」
腕を組んでジャンヌは伝えた。
「しばらくは大丈夫だ。女神様の神託が印象に残っている。しかも、民達の暮らしがよくなっているんだ。貴族達が民を煽動できないはず。ならば傭兵を雇い私を討つか、暗殺するかだが…………」
「傭兵を雇えばすぐにわかりますね。民の目もありますし、食料の買付など多く集まればわかり易い。問題は暗殺の方ですか」
集まった仲間達はジャンヌの身を守る為に意見を出し合うのだった。




