不動のバサラ
黒の騎士団に喰らいついていると、不動のバサラも動きだした。
「バサラ様、もう少しお待ち下さい。後方より神罰騎士団が向かって来ているはずです!」
副官がバサラに意見した。
「いや、黒の騎士団も被害が拡大している。今から援軍を出さねば勝てなくなるぞ!それに見てみよ!思ったより神炎騎士団が少ない。先の蛮族の戦いと、国境砦の守備に少ないと思ったのだが、あやつらの目を見て確信した。神炎騎士団は後方より迫る神罰騎士団に気付いて足止め部隊を出しているのだ」
!?
「何ですと!?」
「奴らは我々が来ている事を知っていた。前もって斥候を放っておれば神罰騎士団もいた事に気付いているだろう。元より聖王が神炎騎士団に何か仕掛けると思っていたのだろうな」
副官は驚きを隠せない様子でバサラをみていた。そこまで聖王を信用していなかったのかと。
「すぐに周囲の近衛兵に伝達せよ!我々も出撃する!」
「はっ!!!」
副官が指示を飛ばすのを見ながらバサラは思った。
『ワシは歳を取りすぎた。今の聖王の政治を肯定はせぬ。最近は危ない薬まで手を出し始めたからな。だが──』
歳を取ると言うことは、様々なしがらみも出てくると言うこともあり、すでに若い者達みたいに自らが動こうと言う気概が沸かなくなって久しい。
ならば───
「ワシの命を踏み台に、高く羽ばたくがよい!だが、簡単に行くと思うなよ!」
バサラを先頭に、騎馬隊が突撃してきた。
「チッ!?もう出てきたか!総員、前方の騎馬隊に注意せよ!」
ドドドドドッ!!!!!
「まだ味方がいるんだぞ!」
このままでは味方ごと踏み潰す事になるが!?
バサラ率いる騎馬隊は、ギリギリの所で急旋回をして味方にぶつかるのを避けた。
「油断するな!我々の側面から突っ込んで来るぞ!!!!」
騎馬隊は大きく外側を迂回して、神炎騎士団の側面から突っ込んできた。
前方を敵兵と戦っている状態では横を向くのが難しく、わかっていても突撃を許してしまった。
味方の神炎騎士団が吹き飛ばしながら、バサラはジャンヌに迫った。
「ここまでだ!ジャンヌ団長!!!!」
バサラは愛武器であるハルバードを振りかざしてジャンヌに振り落とした。
ブンッ!!!
ジャンヌは紙一重で避けると、バサラの馬の首をハネた。
「ぬっ!?」
そのまま勢いよくバサラは落馬して転げ落ちた。
「やった!ジャンヌ団長!!!」
レグルスの喜びとは裏腹にジャンヌは油断せずバサラに視線を逸らさらなかった。
「クハハハハッ!!!!流石にびっくりしたわい!」
重たい鎧を着た状態で、勢いよく落馬したのにダメージがないようであった。
しかし、先頭のバサラが落馬した事で後続の騎馬隊も止まり、その場での乱戦となった。
激しい剣戟が鳴り響く中、ジャンヌとバサラが対峙していた。
「先程はよく我がハルバードを避けたな?」
静かにハルバードを構えた。
「馬に乗っていれば、その勢いとスピードで威力は倍化される。だが、それ故動きが直線になり、攻撃が読みやすい。バサラ団長の様な重装備なら難しいが、私の様な中装鎧なら避けるのは可能だ!」
理論的にはわかっていても、それを実践できる者は少ない。
バサラは油断せず、最大限の相手としてハルバードを振るった。




