避けられない戦闘
剣を抜いたバサラにジャンヌは叫ぶように言った。
「バサラ殿もわかっておられるはずだ!真の敵は聖王であると。そもそも、今回の蛮族の凶行は、聖王が蛮族達を奴隷として売り渡すよう無茶な取引を命じたのが原因なのだ!アストライア教の経典にも奴隷の売買などの禁止の項目がある事は知っているだろう!」
バサラは目を瞑り静かに言った。
「知っている。しかし、この聖王国を纏めているのは聖王なのだ。聖王が倒れればこの西の盟主国周囲が乱れる事になる!それは防がねばならぬ!」
ああ、この人は俗物の聖王の事を知っていて、現状を維持しようとしているのか。
「確かに大小の国や独立都市を纏めている聖王の政治的手腕はなかなかだろう。しかし、女神様の神託すら聞こえない聖王にこれ以上仕えることは出来ない!」
所詮は金をばら撒いて言う事を聞かせているだけだ。その金はより低い立場の民から巻き上げたものなのだ。到底許せるものではない!
「ならば逆に問う!聖王を倒した後はどうするつもりだ!西方が乱れれば中央から攻めてくる国も出てくるだろう。その時、民を導く者が居なければ蹂躙され、結局不幸になるのは無辜の民なのだ!」
バサラの言葉ももっともであった。
そこはレグルスも考えていた。
聖王を倒した後はどうするのか?
まだ具体的な事を話したりはしていなかったが、ジャンヌは覚悟がすでにあった。
「それについては考えてある。聖王を討ち取った後は、私が【聖王】となり民を導く!」
!?
「本気か?ジャンヌ団長!?それは王位簒奪と捉えられても仕方がないぞ!」
「本気だ!そしてそれが私の覚悟でもある!」
バサラは驚愕した顔で呟く
「碌な死に方はできんぞ?」
ジャンヌの目をみて覚悟が伝わった。
そして深いため息をついてから言った。
「貴殿の覚悟は聞かせてもらった!だが、力無き正義は悪にも劣る!ジャンヌ団長よ!力を示せ!」
「結局、こうなるのか!」
バサラはジャンヌ達が自分達の軍へ戻るまで待ってくれた。
戻ったジャンヌ達は神盾騎士団に進軍するのだった。
「我々は聖王に正義の鉄槌を下す!その邪魔をする神盾騎士団を打ち破り、我々の正義が正しかった事を証明する!全軍、突撃ーーーーーー!!!!!!」
歩兵部隊が前進した。
「神盾騎士団よ!我々の任務は聖王国に仇なす者を討伐することである!我々の職務を遂行せよ!全軍、突撃じゃーーーー!!!!!」
「「うおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」」
ここに、同じ国の騎士団同士が激突した。




