進軍中の違和感
レグルス達は翌朝出発した。
砦には5千の兵を置いて、後方の防備といざと言う時の援軍に来れるようにしておく。
街道を進軍して行くとき、偵察部隊の言っていた違和感を感じた。
1日目は誰にも会わずに進軍できた。翌日から、街が近いのか、田畑が表れて民達が農業に勤しんでいた。
「なるほど。これが偵察部隊の言っていた違和感なのか」
民達は他国の軍隊が進軍しているのに、まるで気付いていないように、『いつもと同じ仕事』をしていた。
「ジャンヌ団長、少し住民と会話してきていいですか?」
「ああ、我々はこのまま進軍して、この先にある街を占領しておく」
レグルスは素早い動きのできるフェンリーとリタを伴って畑仕事をしている住民に声を掛けた。
「すみません。ちょっといいですか?」
眼の前にいる中年の婦人は野菜のカゴを置いて顔を上げた。
「オヤナンデショウ?」
「…………商売しに来たんですが最近の、インペリアル国の景気はどうでしょうか?」
中年の婦人は言った。
「コノクニハヘイワデイイトコデスヨ」
レグルスはいくつかの質問をすると、ありがとうございましたと言って、その場を離れた。
「あれって何なの?」
生きてはいる。死霊騎士のように死んでいる人形ではない。しかし───
「会話の受け答えはできる。しかし、顔の表情が変わらない。感情がないみたいに。それに進軍も見えてないようだ。まるで、決められた命令をただ実行しているような…………生きた人形っていうみたいだったな」
「これって洗脳なのかしら?」
「亜人の国でも似たようなスキルを使うヤツがいたな。問題は、これがどれくらいの範囲で行われているかだな」
どういうこと?
リタが聞く前にレグルスが答えた。
「街や国丸ごと洗脳している可能性があるってことだ」
「嘘っ!?」
邪神の力がどれほどなのか…………
「今は普段の生活をせよと命令されていて、何かしらの合図で、一斉に襲ってくる可能性がある」
「おいおい、それはシャレにならないぞ!」
フェンリーも顔を青くしながら呟いた。
レグルスは他の住民とも会話して、洗脳されていることを確認し、急いでジャンヌの元へ戻った。
『これは街を占領しない方がいいかもな』
ジャンヌに助言しようと、街を攻める前に話すのだった。




