フェンリーのスキル
リタは下がっていく呪魂師ザキを逃さないよう、必死で追うリタとフェンリーだったが、次々に襲ってくる死霊騎士に、なかなか追いつけなかった。
「クッ、邪魔ね!」
フェンリーも鋭い爪を伸ばして死霊騎士を捌きながら追っているが、阻まれてしまっている。
「ハハハハッ!どうした?もう終わりか?」
後ろの方から笑い声が響いた。
「巫山戯んなっ!自分は戦わず逃げてるだけじゃない!」
砦の城壁には下からどんどん援軍が上がってきていた。
「このまま体力が尽きたら終わりか…………」
リタは内心で焦っていた。
どうしても、ザキを追い詰める一手が足りないのだ。眼の前の平原で戦っているレグルス達の援軍も望めない。
そんな時、フェンリーが動いた!
「リタ!私のスキルを使う!だが周囲を巻き込んでしまう。何とか避けてザキを倒せ!」
!?
どんなスキルなのよっ!
リタは先にどんなスキルなのか言って欲しかったが、すぐに理解することになった。
フェンリーの両目が紅く光ったと思ったら、全身の身体が膨れ上がった。
「これは獣人化か!?」
ザキは目を開いて呟いた。
「グルルルッ!少し違うな。私のは神獣化だ!」
ギランッ!
それがフェンリーの理性があった最後の言葉だった。体格が数倍に膨れがり、銀色の毛皮に覆われたフェンリーが、爪を一振りするだけで死霊騎士が数体が吹き飛ばされた。
「おおっ!スゴッ!?」
リタは感嘆の声上げたが、フェンリーは縦横無尽に城壁の上を駆け回り、リタも巻き込まれそうになった。
「うわっ!」
間一髪で避けるとフェンリーの言った意味がようやくわかった。今のフェンリーは本能に任せて暴れているだけであり、周りが見えてないのだ。
「そういう事か…………でも、確かにチャンスね!」
城壁の上にいる死霊騎士はどんどん吹き飛ばされており、陣形は穴だらけだ。
リタはザキに向けて走り出した。ザキはフェンリーに気を取られて気付くのが遅れた。
「死んで貴様も死霊騎士になってみるといいわ!」
リタは大型のナイフでザキに斬り込んだ。
ガギンッ!!!
「なっ!?」
防がれるとは思っていなかったリタは驚いた。
「残念ながら、私も多少の心得はあるのでな!」
ザキはローブの下に隠していた細身の剣でリタのナイフを防いだ。そして反撃に転じた。
一瞬の間に鋭い斬撃を放ったザキの攻撃にリタは吹き飛ばされた。
ザザザッ!
クッ、何が多少よ!達人級じゃないの!?
思った以上の使い手でありリタは分が悪いと内心で思った。




