呪術師
ジャンヌ団長はスケルトンの騎士と呼び辛いため、素早く呼べるように『死霊騎士』と呼称し、対応した。
「騎馬隊!側面から突撃せよ!敵を撹乱したのち離脱!隊列が乱れた所を一気に押し返せ!」
騎馬隊が左右から突撃を開始した。
しかし、驚く事に死霊騎士はそれに対処したのだ。
騎馬隊が動くと見ると、また耳鳴りのするキーーーーンと言う音が聞こえたと思うと、大きな盾を持ったタンク役の死霊騎士が道を防ぎ突撃をさせなかったのである。
「クッ、あれは抜けん!」
騎馬隊の隊長はぶつかる前に急旋回してとんぼ帰りするハメになった。
「面白いですね。死霊騎士がちゃんと戦術を使ってますよ」
何かに気付いたレグルスは余裕のある声でジャンヌに言った。
「ああ、そうだな。だがネタが割れれば対処はし易い。各前線の兵士に伝達。無理に攻めず守備に徹しよ!」
この天才の二人の会話を聞いている周りの仲間達は首を傾げていた。
「あの~戦況は劣勢なのですが、これからどうするんですか?」
ミリアがいつものように尋ねた。
「そうだな。リタに動いてもらう」
「えっ!?私ですか?」
まさか呼ばれるとは思っていなかったリタが声を上げた。
「うん。リタだけでこの戦争を終わらせれるよ。あ、でも護衛にフェンリーも連れて二人で行ってきてね」
???
「えっと、どういうことなんだ???」
常人には天才の言葉がわからない。
「ジャンヌ団長は言葉が足りないからなぁ~」
「レグルス、お前が、きちんと説明しないからだろう?」
なんだか二人で言い合いが始まってしまった。
「コホンッ、死霊騎士は人形と同じだ。いくら倒しても無駄なのだ。この死霊騎士に指示を与えて操っている者がいる。そいつを倒せばこの砦の戦争は終わる。リタの隠密スキルでそいつを暗殺して欲しいって言う事だ」
!?
「な、なるほど」
「でも、どこにいるのか分からないとリスクが高いかなぁ~」
リタとて死にたくはない。
当然の反応である。
「いや、場所はわかっているよ」
レグルスがフォローを入れた。
「最初は砦から出てきて、同じ鎧に身を包んで後方にいる可能性も考えたけど、騎馬隊の動きにすぐに反応した事を踏まえると、砦の上の城壁にいるよ。そこで戦況を見ながら特別な音で指示を与えているんだ」
リタやフェンリーなど他の仲間達も、この少ない情報から敵の司令官の場所を突き止めたレグルスとジャンヌに驚く事しか出来なかった。




