号令
久しぶりに戻ってきた中央都市ナニワは活気を取り戻していた。
「治安維持に力を入れて、あっちこっちに商人の護衛に行ったからなぁ~」
前は大商人達が牛耳っており、表向きは平和で活気のある都市だったが、金儲けの為に間者を各地に放って戦争の火種を作り、武器や食料、傭兵の派遣などで莫大な財産を築いていた。
神炎騎士団がここを落としてから大陸の争い事は目に見えて減った。
だが、まだまだ盗賊や魔物の脅威が無くなった訳ではない。神炎騎士団は各地に新たに雇った傭兵達を使い、治安維持に力を入れて行動してきたのだ。
故に、少し前よりも商人達は安全に各地へ行商出来るようになったのだ。取引が活発になり、各地の物流も豊富になるのも無理はない。
援軍にきた亜人達も大陸の中央の大都市を観光しているようだった。
まぁ、僕も初めてきた時はおのぼりさんだったしね。
こうして平和な数日間が過ぎ、ついに号令が掛かった。
「みな、よく集まってくれた。これより【絶壁の砦】を攻略し、インペリアル大国を攻め落とす!特にインペリアル大国にはスケルトンを大規模に操る術を持っていると先日、南の亜人達の国で判明した。しかし、魔物として考えて戦えば数が多くても対処ができるとわかっている。油断はできないが、勝てない相手ではない!頼りになる亜人達の援軍もいる。各自奮闘して欲しい!」
「「はっ!!!」」
ビシッと敬礼をとり、レグルス達は前線基地へと出発した。
意外と思っていたより前線基地はしっかりした作りとなっており、見張り台や、簡単な小屋など作られていた。
「思っていたよりしっかりした作りになっていますね」
「当然だ。お前達がいない数ヶ月掛けて作ったんだからな」
確かに数万の兵士を常駐できる広さもある。ここを足掛かりに今まで一度も破られたことのない【絶壁の砦】を攻略するのか。
「今日はゆっくり休め!明日の早朝に総攻撃を開始する!」
ジャンヌ団長の掛け声で周囲の空気が張り付いた。各兵士は解散し、自分の武器の手入れをしたり食事をしたりと時間を使った。
そしてレグルス達幹部達は最後の作戦会議の為に残った。
「明日は敵が出て来なければ城門を魔法で攻撃し、壊せなければレグルスの神剣で斬って突入する事になる」
メビウスがこの作戦に珍しく意見を述べた。
「この作戦、正直無理があると思うがね。ジャンヌ団長も知っていよう。砦には魔術を防ぐ術が施されているのだが?」
ジャンヌは腕を組み換えながら答えた。
「ああ、無論知っている。だが、エルミアも魔術師だ。二人の魔法攻撃を城門に撃ち込めば、必ず多少は壊れるだろう。その綻びをレグルスの神剣で抉じ開けるのだ」
「なるほど。それなら可能だ」
エルミアも魔術師だったのか。
まぁ、魔術師は狙われやすいって聞くから普通は言わないわな。
それから大まかな兵士の運用について話し合い明日に備える事になった。




