5話 VS巨大イノシシ
思ったよりやばそうだ。
俺は早くも逃げなかったことを後悔し始めていた。今逃げたとしてもすぐ追いつかれてしまう。言い訳になってしまうが俺はあくまで召喚・テイマー系の職業だ。今の何も召喚できず、テイムした生き物もいない状況では俺はMPが多い魔法使いでしかない。
そんなことを思いながらも俺はこの勝負を楽しみにしていた。
このゲームにはユニークモンスターと呼ばれるこのゲームに一個体しか存在しない生き物もいるそうだ。この森はLv1推奨の狩場でボスもたかが知れているだろう。そのことから俺はこの巨大イノシシがユニークモンスターなのではないかと思っている。
そんな生き物と戦えるのは楽しみだ。こんなことを言っているが俺は決して戦闘狂ではない。……違うったら違うのだ。
おっ。巨大イノシシがこちらに来ようとしている。さて、どうやって戦うか。おそらく魔法は使わず、攻撃手段は物理だけだろう。
「シューーー」
巨大イノシシが土煙を上げながら迫ってきた。っつ!思ったより速い!
ギリギリ避けることができたが服が破れてしまった。ていうかこのゲーム服が破れるとかあるんだな。これは強いな。地面がすごいことになっている。ここまでえぐれた地面を見たのは初めてだ。
このままでは埒があかないな……。
しかし敵は待ってはくれない。再び巨大イノシシが突進してきた。俺は横に跳んだ。HPバーが三割ほど削れた。少し当たってしまったようだ。これだけでこんなにも削れるのか。しっかり当たったら即死だな。
何か策はないか……。
あっ、これにしよう。俺は考えた策を実行するため罠の準備を始めた。
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「よし!きやがれ豚が!!」
俺が巨大イノシシと戦い始めて二時間はたっただろう。イライラして口が悪くなってしまった。
考えても見てくれ。逃げながら罠を作るのだ。そう簡単にうまくいくわけがない。
しかしやっとできた。俺の考えた策はこうだ。
巨大イノシシから逃げながら、ウォーターボールを土に撃って土を柔らかくしていく。
そしてそこで巨大イノシシを転ばせて、その隙に攻撃をしていくというものだ。
……こういう作戦だったのだが巨大イノシシが硬かった。全然HPバーが減らない。今もHPバーが95%以上残っている。俺もずっと攻撃を避けているのでHPバーはあと一割ほどしかない。MPもあとウォーターボールを一発撃てる程度なのでもう勝てないな。
巨大イノシシが突進してくる。
HPバーが完全に削れた。
そして俺は消滅して、初めて死に戻りするのだった。
そういえば巨大イノシシの脚が突進のたびに速くなっていた気がした。
気のせいか?俺は死ぬ前にそんなことを思うのだった。
目を覚ますと神殿の中だった。
糞イノシシが。次はあったら絶対テイムしてやる!
俺は生き返ってそんなことを思うのだった。
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