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第二話『人魚の国』
第二話『人魚の国』
「わぁ…」
街に入るとそこにいたのは色とりどりの人魚達。
「まぁ!人間の女の子よ!」
人魚の一人がそう叫ぶと一斉に人魚達が集まって来た。
「可愛らしい子ね。名前はなんて言うの?」
「えっと…リサです」
「まぁ!お名前まで可愛らしいのね」
「真珠みたいに白くて美しい肌ね。その黒髪もとっても素敵だわ」
口々に人魚達は誉めてくれる。
「でも…皆さんのが綺麗ですよ」
金髪や赤、オレンジ、ピンクなど。色とりどりの髪や尾ひれを持つ美しい人魚達。私より皆綺麗だ。
「そんなことないわよ。貴女、本当に綺麗よ。自信を持って!」
「う…うん!」
今まで誰にも容姿を誉められた事なんかなかった。だから…とっても嬉しい。
「そうだわ。リサはマーライズ様に会った事はある?」
「マーライズ様?」
聞いた事のない名前。
「このマーメイドの国の女王様よ。是非一度会われるといいわ」
「そうですわ。マーライズ様はお優しいお方。女性なら誰にでも会って下さるわ」
女性なら?今確かにそう言った。