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いざ異世界シーディアへ!
環が差し出したのは鏡とそっくりな杖の先。羊をモチーフにした、真ん中に羅針盤のような丸い板が付いた物。
「……」
そっと触れると、今まで真っ暗だった景色に色が着いた。
「海の中?!」
まるで沖縄の海のように明るく、色とりどりの魚が珊瑚の林を泳ぐ。
そして、不思議なのは水中にいるのに息が出来るということ。
「環?」
周りを見回しても環の姿はなかった。
(どうか幸せに…)
頭の中だけに環の優しい声が響いた。
「うん…私、此処で新しく生きてみる!」
珊瑚の林の向こうにキラキラ輝く人工的に積み上げられた巨大な貝の…街みたいなものがある。きっとあそこに行けば誰かいるだろう。
私は水を蹴って泳ぎ出した。