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これって津波…?
「人魚姫…千年経って忘れてしまったか?あんなに愛し合ったのに……」
「せ、千年?!」
あれ…千年って……どこかで聞いたような。
「私は君の名前を呼んだことを後悔してはいない。光を失っても、この両目はいつも君を映していた!」
肩を強い力で掴まれ揺すられ、私は段々怖くなってきた。
「人違いです!離して下さい!」
「リサ!」
セルシアがルクスを殴り付け、彼が怯んだ瞬間に私を抱き抱えて海に飛び込む。
「────!!」
海中に飛び込む瞬間、何か名前のようなものをルクスが叫んだ。
「リサ、大丈夫か?」
「うん…あっ!!」
グワッと海水が揺れた。
「リサ!!」
一瞬にして激しい海流は私とセルシアを引き離し、沖へと猛スピードで押し流す。
「セルシア──ッ!!」
凄まじい水圧の中、なんとか顔を水面に出した私が見たものは……離れて行く陸地。
「まさか……これって津波…?」
聞いたことがある。津波の前は海水が引くこと。昔大地震で大津波にあった島のニュースで津波の仕組みをやっていた。
今まさに起きているのはそれだと直感した。




