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氷の夢


ふわふわと…私の体は見慣れない土地に浮かんでいた。


(此処は…何処?)


しんしんと雪が降る、地面が氷に覆われた場所…。


「母さん!僕だよ!セルシアだよ!!」


氷で出来た檻を叩き、中の人物に叫ぶ小さな人魚がいた。


(セルシア?)


「セルシア…?」


檻の中の人物と私の声が重なる。


(えっ…あれはお母さん?)


氷の檻の中にいたのは金色の人魚。だがその光は弱く、僅かな海の闇を照らす程しかない。



「お母さん!」


「あぁ、セルシア…貴方なのね」


母と子は檻越しに抱き締め合う。


「お母さん、今此処から出してあげるね!」


小さなセルシアは後ろに下がると氷の檻に向かって思いっきり体当たりする。


「やめてセルシア!」


母が叫んだ瞬間、海水に青い血が霧のように広がる。


「あぁ!!」


額がパックリと割れ、氷の地面に横たわるセルシア。


「セルシア、セルシア…大丈夫?」


母は真珠の涙を流しながら氷の鉄格子の向こうに倒れる息子に手を伸ばすが届かない。


「……お母さん…」


ヨロヨロと起き上ったセルシアはまた後ろに下がり、再び檻に体当たりする。


「お願い…やめてぇっ!!」


母は叫ぶも小さなセルシアは何度も何度も体当たりを繰り返す。

その健気な行動も虚しいかな…氷の鉄格子は見た目以上に頑丈で、折れるどころか1ミリも欠けない。


「セルシア!もう、いいの!これ以上貴方が傷つくなら私…今自分の命を絶つわ!」


「!」


セルシアはその言葉に尚も体当たりをしようとしていたのを止め、ゆっくりと母に近付く。


「お母さん……」


ボロボロのセルシアを母は優しく抱き締め、頭を撫でる。


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