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やっぱり男なんて皆怖い生き物なんだ。
「あぁ、俺も見ていた。しかし、人魚の祝福を受けていない人間が海底で暮らすことなど出来るものか?」
「あの…私。精霊王にこの世界に連れて来てもらったんです」
「何っ?!」
私の一言でマーマン達は一斉にざわめく。
「……その娘の言うことは本当だ。伝説の精霊王が異世界からこの世界へと召喚したようだ」
セルシアの瞳の色は元の青に戻り、私を見下ろしていた。
「では、セルシア。その娘をどうするつもりだ?」
「あぁ…王都に帰すわけにもいかぬし、どうしたものか」
私はどうなってしまうのだろう…セルシアに興味はあるけど、マーライズの所に帰りたい…きっと今頃心配しているかもしれない。
「人間は人間の街に帰した方がいいだろう」
「嫌……」
マーマンのその言葉を私はすぐに否定した。
「私…帰るなら女王様のとこに帰りたい…」
「何っ?!」
一瞬で皆の表情が険しいものになった。
怖い……やっぱり男なんて皆怖い生き物なんだ。




