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お主の記憶を見させてもらった
「いいえ……私は、自分のいた世界にいたくなかったんです。そしたら環がこの世界に連れて来てくれたんです」
自分の居場所のない世界。もしかしたら…此処にも私の居場所はないのかもしれないけど。
「先程、お主の記憶の表面を読ませてもらった。その時に幼いお主が酷い目にあっているのを見てな。それで気になっていたのじゃ。
そうか…成程。だから創造主の子はお主をこの世界に連れて来たのか」
うんうんと頷き、マーライズは私をじっと見る。
「随分と辛い想いをしたのだな。
安心するがよい。この海にはお主を傷つける者はおらぬ。
そうじゃ…この城で暮らすことを許そう。お主も住む場所の宛などないじゃろ?」
それは願ってもない事だ。この世界には知り合いも身内もいない。
「はい、ありがとうございます!
あ、あと…リサでいいです」
フルネームで呼ばれるのは慣れないし、呼ぶ方もきっと大変だろう。
「うむ。では…リサ、今日は突然色々あって疲れておるじゃろ?部屋に案内するから食事まで休むといい」




