第二話
私の名前は 伏見了
私が異世界に来たの日のことは今でも思い出せる
私はただのしがない女子高校生だ。しかしそんな私だが、家で寝ていて目が覚めると多くの人で満たされた真っ暗な空間に突っ立ていた。自分の家ではない。周りの人間もなぜこんなところにいるかわからない様子でうろたえていた。周りをよく見てみると黒人や白人といった様々な人種や老若男女問わずこの暗闇の空間に閉じ込められていることに気が付いた。
(なにこれ・・・夢?)
みんなが困惑していると私たちの頭上から白いエナメルジャケットが降ってきた。皆それに注目していると、エナメルジャケットはまるで生きているように動き回り、近くにいた男にまとわりついた。
皆がなんなんだと思っているやさき、エナメルジャケットを着てしまった男は絶叫して内臓をぶちまけて死んでしまった。
(いったい何!?)
あまりの惨状に人々は驚き恐怖した。そしてエナメルジャケットは死んだ男からまとわりつくのをやめて、また別人にまとわりついた。着せられた男は大量の血を吐いて死んだ。そして再びエナメルジャケットは男から離れて、ふわふわと浮き獲物を物色していた。
私はあたりの惨状に思わず口からげろを吐いてしまった。吐しゃ物のリアル感でこれが夢でなく現実だとわかった。そして私たちはエナメルジャケットから逃げるように 蜘蛛の子散らすように逃げ出した。しかしエナメルジャケットは次々と人々に襲い掛かる。
そうして少しの時間がたった。エナメルジャケットのせいで私たちは二人までに減らされてしまった。あたりには屍が散乱している。私は怖くて身をかがめるだけだった。そして血で染まったエナメルジャケットは私の隣にいた男性にとびかかった。その男性もみんなと同じように内臓を破裂させて死んでしまった。
「なにもしてないのに」
男性は最後にそんな言葉をいって絶命した(いったいこんな理不尽な)残るは私になってしまった。私は人を殺すエナメルジャケットの理不尽なことに怒りを感じていた。そうこう考えてるすきにエナメルジャケットが私に無理やりまとわりついた
。その瞬間。全身に激痛が走った。
「ぎゃああああああああああ」
私はあまりの痛みに転がり、叫び声をあげてしまう。
「痛い、痛い、痛い」
何なのこれ痛い苦しい。私の生涯で一番の痛みだ!!たとえるならミキサーで内臓をかき混ぜられているような痛みか、全身の皮膚がはがされるかのような痛みだ。どれも今まで体験したことのない痛みに私は気絶してしまった。
ーーー
私は痛みによって気絶させられていると、誰かにとんとんとつつかれた。そこにはサンタクロースの帽子をかぶり黒いエナメルジャケットを着た見知らぬ女が私を見下していた。私はサンタさん?と感じたが相手は拒否の言葉を発した。
「私はサンタではありませんよ」
え、私は言葉にしていない。なのにどうして。
「あなたの考えていることはわかります。貴方は選ばれました」
その言葉で私の頭に疑問符が満ちた。なにを言っているんだ。選ばれた何に?
そんなことを思っていると彼女はあらぬ方向に指さす。
そこには翼を生やした獣人が存在した。獣人は口から大量のよだれをたらして私を凝視していた。
見知らぬ女は言う。
「さあ立ち上がってくださいそして 白のエナメルポケット中にあるカードを使うのです」
そう言って、痛みで疲労困憊の私を担ぎ上げた。私はなんとか両足で地面を踏みしめて立つことができた。そして見知らぬ女は、
「さあ行きなさい」
そう化け物に指示して、私に襲わした。
やばい!! 私は恐怖心と向き合い逃走の道を選んだ。それを見て女はため息をつきやれやれといった仕草を私に見せた。 私はそんな奴のことを無視して走り出すも、無常にも獣人に捕まった。獣人は口を大きく開き私の腹部をかみついた。かみつかれた腹部からは大量の臓物があふれだし、あたりを赤色に染めた。私は死んだ。
(タイム)
喰われる痛みから目を覚ますと、私は再び、化け物と対峙していた。体には傷一つもない。
「!? いったい。元に戻っている!?」
その言葉に見知らぬ女はつぶやく。
「さあ ポケット中にあるカード、『エルカード』を使用してください。さもなくばもう一度死にますよ」
「なんだって!? くそっ」
女の言葉に私はエナメルジャケットのポケットに手を突っ込んだ。確かに何かある。私は取り出して扇状にしてみる。それは複数のカードだった。カードらには(アイアン)(オーガ)(トリック)(グリフォン)(ドラゴン)と書かれていた。私は殺されないようにカードの一枚を手に取りかざした。
(アイアン)
そうカードから音声が流れた。しかし周りに何か起こった感じはしない。化け物は再び私にかみつこうとする。畜生私はまた殺されるのか!? 絶望と怒りが混じった感情が頭の中を占めた。
化け物の口が私の腕をとらえる。かまれて血が出た!?そう思ったしかし、痛みが来ない。化け物も困惑して何度も私にかみつく。しかし何度やっても金属音を響かせるだけであった。
「まさか!?」
そう思い、私はかざしたカードに書かれていた文字を思い起こす。それにはアイアンと書かれていた。まさかカードの力で私は鉄になったていうのか!?
そんな風に思っていると、女が喜びの顔をになり、言葉を発する。
「そうです。それがエルカードの使い方なのです。さあほかの力を使いなさい」
その言葉に私は新たにカードをかざし念じる。
(オーガ)
すると私の額に鬼のような角が生えた。それと同時に、私の体の奥から湧き上がる力を感じ取った。
「うおおおおお!」
私は相手の口から腕を引きはがして、その腕で怪物を殴りかかった。私の拳は見事怪物の顔面に的中。怪物の頭部は砕かれ動かなくなった。あたりに血が飛び散った。しかし私は自分のことで手いっぱいで、そんなことに構ってられなかった
「はあ、はあ、はあ」
身の身に起きた力に恐れおののきながらも、今命があることに安どした。私と怪物のやり取りを見ていた女は私に近づき話しかける。
「これならこれから行く。異世界。夢幻界に行っても大丈夫ですね」
「何のことだ。このカードは何なんだ。あんたは誰だ!? いやそんなことよりもこれら全部あんたのせいなのか!?」
「そうです。私の名はアトジ。無限の力の代行者」
その言葉に私は目の前に広がる屍たちに目をやった。おそらく皆私と同じように突然連れてこられたんだろう。そう考えるだけで、私の心にアトジなるものに怒りの念がわきだした
そんな私の感情を無視してアトジは語る。
「貴方には役割を与えます。それはこれから行く夢幻界で不必要なものを消してほしいのです」。終わりの代行者として」
「そんなわけのわからないこと聞けるものかよ!!」
「あらあら、そうですか。ではごきげんよう」
そう言ってアトジは私の顔に手をやった。その瞬間私に強烈な眠気がやってきた。だめだ抵抗できない。私の意識は消えていった。