表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

第一話 簡単なクエストだと思っていたのに ~あなたは、勇者です!!~

 手紙を届けるクエストを完了させるため、もとい、家に帰るため、理那は村から町へ、町から街へと歩き回っていた。しかし、クエストが完了する気配は一向にない。どの村、町、街へ行っても、「~にいるという噂を聞きました。」というもはや、テンプレの文章で、手紙の配達先すら掴めない。「さらわれたので、助けに行ってあげてください!」なら、まだしも、居場所すら、分からないなんて…。と、途方にくれながらも、このクエストが終われば、家に帰れるから、と自分に言い聞かせ、必死に探す。


 新たな村に着き、少し休んだところなので、聞き込みを始める。「すみません。メラタデ・イナイさんをご存知ですか?」 

 親切な男の人が教えてくれた。「あぁ、メラタデってやつなら、結構前にカジノで遊ぶ、的なことを言っていたから、隣の街にいるとおもうよ。」

 「あ、ありがとうございます!よければ、近道を教えていただきたいのですが…。」

 「う~ん。近道、ねぇ…。あるんだけど…。かわいい女の子には、おすすめできないなぁ。」

 「大丈夫です。これでも、村一番の優等生でしたので。」

 「そこまで言うなら…。実は、ここから西に山があるだろ?どういうわけか、あの山をこえると、すぐに隣町があるんだよ。だから、普通の道で歩いていくと、3日かかるところが、1日で着いちゃうんだよなぁ。もう一度言うけど、おすすめできないよ?やめといた方がいいよ。急ぎでもなさそうだし。」

 「いえ、お気遣い、ありがとうございます。だいじょうぶです。」

 「いやいや、お役に立てたようで、なによりだよ。」

 「本当に、ありがとうございました!それでは。」もう一度、お礼をすると、男の人から、離れていった。理那としては、できるだけ早い出発のほうが良い。

 「雨の日は、言ったらダメだよ!絶対に!」と親切な男の人が言っていた。もちろん、理那は気付いていない。


 理那の中では1%ぐらい進んだ気がしていた。テンプレではなかったし、親切に色々教えてくれた。

しかし、実は進んでいない。あの日、あの天気でなければ、近道を使っていなければ、なにより、あの男の人の話をちゃんと聞いていれば…。理那のその後の人生は、大きく変わっていたはずだ。


 道具やで消耗品を揃えようと思った理那は、なぜか武器屋にいた。なぜ武器屋にいるかと言うと、それには、ふっか~い理由があるのだった。


道具やに行こうと村をさ迷っていると、女性と男性の二人組に声をかけられた。

 「あの~。お話があるのですが、よろしいでしょうか?」

その丁寧な言い方に思わず応じてしまった。「は、はい。なんでしょう?」

理那が応じると、女性と男性は、声を揃えて、言った。

 「あなたは、勇者です!!」

理那には、理解できなかった。1回では。夢みたい、とか、憧れているから、とかではない。

単純に、意味が分からなかった。色々な意味で理那が困っていると、もう一度言ってくれた。

 「あなたは、勇者です!!」 「さあ、武器屋で装備を整えましょう!資金の1000ゴールドです。どうぞ、勇者さま。」

女性が、にっこり笑っている。

 二人組に武器屋に連れて行かれた。連れて行かれたところで、ようやく、理那の思考がまとまった。


 これはきっと、武器屋の宣伝だ。


お楽しみいただけたら、幸いです。

誤字、脱字がありましたら、お知らせください。


不定期更新になる予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ