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第18話 真相はアンダーグラウンド

 グライドは俯き、黙ったまま話を聞く。

 顔を窺い知ることはできない。


「ナロ様は大切な人を、その得体の知れないもののせいで……」


「エリス様、もういいんです。ダグラさんの気持ちがわかっただけで……」


 ナロはエリスの顔を見て、優しく話しかけた。

 控室は時計の音が響き、時間だけが過ぎた。誰も話し出すこと出来ない状況が続いた。





 暫くすると、ナロはすみませんと、控室を後にした。

 これ以上聞くのは限界だったのかもしれない。ここに立っていることも。

 ダグラの優しさから来た結果。それを受け止めるのに時間がかかるのか、それとも……。


 グライドがそっと話し出した。


「私は、彼らだけじゃなく、旅人や商人、色々な人々に同じような謳い文句で渡した。ゴブリンにもね。この都市のアンダーグラウンドでは知っている人も多いはずだ。私もそこで生きてきたようなものだからね。君達がもし、詳しく知りたいならばそこに行くといいだろう。教えてくれる人はいるはずだ。そのときは、この都市の真実を知ることになるだろう」


 ダグラだけではなく、旅の途中で会ったゴブリンもそのカプセルの仕業というわけか。

 同じように我を失い、目の前の者を襲う。今思えば確かに共通点は多い。


 それが一体何なのか。どういう理由で広がっているのか。


 グライドに聞いても、答えは返ってこないだろう。

 答えを知らないが正解かもしれない。


 正直な話、ナロがここにいなくて良かったと思っている。

 彼女の前から手がかりがここで途切れたこと。それが良いことだったと願いたい。


「君達は使わないとは思うが、もし答えを見つけたいと願うならば、これが手助けをしてくれるだろう」


 俺は、グライドからカプセルが数粒入った袋をもらい、ポケットにしまった。

 これが手助けをしてくれる、か……。


 そんなことを思いながら、俺はエリスと、グライドの話を聞き終え踵を返す。

 エリスは試合が終わった後なので、関係者席に行かなければいけない。ナロも先に行っているだろう。


 控室に戻ろうと廊下に出ると、一人の男に会った。

 確か、参加者の中の一人。


「”偽物”……ねぇ」


 男はそれだけ言うと、俺達と別の方向へ。

 大きな声を出してしまったので廊下まで響いていたのか、と少し動揺してしまった。


 俺を待っていたのか、偶然聞こえてきたのかわからないが、その一言がすごく耳に残っていた。





 武道祭は順調に進み、終盤に差し掛かった。1回戦のグライドとの試合は予想外な幕切れだったが、第2回戦では難なく勝ち上がり、観客の関心を引くことが出来た。その他の試合も終わり、残りは決勝戦のみとなった。控室に関係者が呼びに来て、決勝の舞台へ向かった。


 グライドの言った事や、カプセルの事、それらが頭の中をグルグルと駆け回る。


 武道祭での目標は一つ達成したんだ。

 もう一つも優勝すれば手に入る。もうすぐだ。


 目の前にいるのは、そんな事は知らずに盛り上がる観客。

 会場の熱気は最高潮になっている。


 とりあえず、今俺にできることをやろう。

 

「さあ、武道祭も残すところ、この試合のみとなりました。頂点に立つのはどちらか――」


 アナウンスが鳴り響く。


「決勝戦、旅人ジン対勇者グラファ――」


 勇者グラファ――廊下で会った男との試合が始まる。

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