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第16話 武道祭

 宿に帰り、エリスとナロにグライドの名を聞いたことを説明した。2人も驚きはしたが、俺と同じく、アザゼムにいればいつか必ず出会うことができると考えていた。

 武道祭の性質上、開催直前になってみなくては対戦相手がわからない。どのタイミングで対戦するか、会うまでにどちらかが負けてしまうことだってあるはずだ。だが、大会に出さえすれば、グライドに接触できる大きなチャンスとなるのは明白だった。


「まずは、対戦するまで負けないようにするよ」


「お願いしますねっ!」


 エリスの期待に満ちた顔を拝んだ後、武道祭会場へと向かった。





 アザゼムは他の村や町と違い、とても先進的に見えた。

 住民は身なりにも気を使っているように見えるし、何より建物が縦にも横にも大きい。木造の家などは数少なく、石で出来た外装も凝っているものが多い。整備された道を除けば建物がぎっしりと詰まっている、そんな印象だ。

 そして、そんな先進的で文化的な都市の印象をも吹っ飛ぶ、この大きな建物。

 日頃何に使っているのか不思議に思うほど、無駄のある大きな円型建築物だ。

 当日受付を済ませ、中を見せてもらうと、観客席が押し寄せてくるような感覚に陥った。海外中継でみるサッカースタジアムのような内観。天井は無く、眩しい日差しがジリジリと体を熱くする。


 少し中を見せてもらった後、俺は会場中の参加者控室に案内された。武道祭は一人ずつに部屋を設けているようで、試合前にグライドに会う機会はなさそうだった。当日のエリスとナロはというと、関係者として席を設けてもらい、試合が始まれば、一番近くから試合中の助言や応援を許されている。ようはセコンドというわけだ。あまり役に立たないセコンドだと思うが……。





「さあ! 今年もこの季節がやってきましたね。今回の武道祭にも、腕に自信のある参加者にエントリーしていただきました。今年は8名でトーナメントを行います。優勝者にはなんと――」


 会場の真ん中で観客を煽るアナウンスが響く。


 試合の説明。


 武道祭は武器の持ち込みは何でも可だ。

 対戦相手が再起不能になるか、途中棄権をするかで勝敗が決まる。

 言ってしまえば、何でもありのサバイバルマッチだ。


 長ったらしい説明中も、8人へは観客の視線が集まっていた。

 大勢の観客。空席がぽつぽつあるものの、熱狂的なファンもいるようで大盛り上がりに感じる。そもそも、こんな会場で俺が注目されることがあるなんて、とこちらが少し舞い上がっているのだ。


 観客の期待はただ一つ、誰が一番強いのか。


 俺達の目的は、生活のため、そして情報を聞き出すため。

 他の7人が何のために参加しているのかは知らないが負けるわけにはいかないのだ。


「第1回戦は、旅人ジン対――」


『うおおおおお!』


 残りの6人は控室へと戻る。

 1回戦のアナウンスが始まると、観客のボルテージが一気に高まった。


 一方的にだが見覚えのある顔と、初めて顔を合わせる。

 そう。俺は第1回戦で、グライドと当たる。

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