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プロローグ

 見慣れた光景。

 玉座に座っているのは、創造主アトラス。

 立派な髭を蓄えた老人。綺麗な白の衣に身を包んだその姿は、創造主に相応しい。

 何もかもを見透かしているような眼差しが緊張感を高める。


 いつものように、俺を含めた4人はこの場に集められた。


「勇者ジンよ、最後に言うことはあるか?」


「……」


 俺は何も答えられなかった。


「では、準備は良いな?」


 低い声で創造主アトラスはそう言うと、立ち上がり、目の前に立っている俺ら4人に片手を向けた。

 眩い光が目の前を包みこんだ。もうすぐ世界が変わる。





 巨大な力ゆえに、退屈に嫌気が差した、魔王ベルト


 人々の幸福を願い、見守ることを選んだ、女神エリス


 膨大な知識をもち、すべてを知りたいと望む、魔女リダ


 ここに集められた3人。その理由。

 そして俺の理由は、”新しい世界で旅をしてみたくなった”だ。


 ”勇者”である俺を含めた4人が、創造主アトラスの提案を受け入れた。


 ”4人の内の誰かと入れ替わり、異世界に行く”

 それぞれの世界で頂点を極めた4人が、自分ではない他の者となって、同じ異世界へと旅立つ。


 この提案の唯一の条件は、ここにいる4名以外に入れ替わったことを口にしないこと。

 もしも口にした場合は、地獄の苦しみを受け、消滅してしまう。

 創造主アトラスは言った。違う世界に下手に干渉するのは楽しくなかろう、と。


 そして、俺の入れ替わる相手が決まった。

 俺が引き当てたのは”魔王”だった。

 勇者から魔王に生まれ変わり、異世界での旅が始まる。

 

 いや違う。全く違う。


 なぜなら、俺は”勇者”ではないからだ。


 夢と現実の狭間のような空間で、必死になって何度も抵抗した。

 何かの間違いだ、俺は勇者なんかじゃない、と。


 創造主アトラスは、これを謙遜と受け入れた。

 候補として選ばれた時点で、俺には拒否権はなかったのだ。

 他の3名はきちんとした理由があり、異世界へ行くことを承諾している。


 俺はどうする?

 俺はどうすればいい? 


 繰り返す議論を無意味に感じ、そして受け入れた。それっぽい理由を加えて。


 そうして俺――大橋ジン、ただの高校2年生――は、創造主アトラスの勘違いで魔王となり、異世界に行くことになった。

読んでいただきありがとうございます。これからもどうぞお付き合いください。

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