第一章 8『クェイク』
クェイクは揺らぎ、揺れ、振動ですね。
まだあまりわからない国の状況なか各国に分けてキャラクターが増えます。
アフターワールドには警察は存在するが日本での役目とは1つ大きく違う。
市民を守ることが戦時の方針となるのが日本ではあるが、ここでは自衛隊のように銃器の使用ができるものが配属される。
『このまま押し返せますね、先陣を切っても構いませんか』
『命令だ、国境の壁の破損が修復できる間合いまで押し返せ、以上』
歩兵の数は大したものではない。少ないとは決して言えないが白兵戦士の中でも優れたこのゼファー部隊は先陣を切って一個隊で敵を押し切った
『ま、歩兵はチョロいですね』
『確かに、だが急に攻めて来た理由がわからん。これが陽動に見えるのは気のせいか』
『あー、でもあの本は今は敵の手に渡ってしまってるんですよね?なんか取るものありました?』
『目当てがわからんからなんとも言えんな』
そして、アレク総隊長は腕にはめた使い込まれた通信機を開いた。
『ゼファー隊隊長より報告します。十分な間合いをは確保し損害ありません、陽動の可能性が高いとみています。以上です』
『んじゃ、もーひと頑張りですかね』
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玄関のチャイムがする。
『ロイフ、俺は今すぐに出れないからよろしく』
まだ朝ご飯を食べてゆっくりしているところだが来客となると、ひなさんかアイゼンさんくらいなのかな?
『健永くん、アイゼンさんがいらっしゃいましたよ』
アイゼンさんなら別に髪が乱れてても気にしないだろう。
『おはようございますアイゼンさん』
『ああ、おはよう健永くん。今日は局に来てくれないか、緊急事態だ』
『なんかあったんすか?ちょっと待ってくださいね支度できてないんで』
アイゼンさんには何故かタメ口と敬語?が混ざった口調になりやすい。見た目しっかりしてるのはアンドロイドだからか規則正しい、しかし性格は大雑把に見えるのだ
『急に呼び出して悪いね、お国の方でトラブルがあって重要人物を守るように言われたんだよ』
この国については昨日ひなさんに言われて取り寄せることにした新聞から少し知った程度。この国は4つの国に囲まれている土地で海があるが山がない。4つの国のうち2つが同盟関係にあり、1つは軍力が恐ろしく強いので他国から同盟を禁止される中立国、そしてもう1つは人間ではない者たちが国民の大半を占める発展途上国というところの対立国だ。
発展途上していて対立が叶うのはその人ならざる者の異能が様々すぎて手が出せないことが表の理由だ
『とりあえず局まで急ぐよ』
『…とりあえずわかりました』
ロイフは辺りをキョロキョロしているが身軽な足運びでついてくる
『よかったよ、健永くんは無事にこれたネ』
『ご無沙汰してます雨目さん』
『とりあえず詳細が聞きたいと思うだろうがもう1人後から来るはずだから一緒に話すヨ』
局内はそこまでお国のトラブルは気にしていないらしい。まったくもって張り詰めた空気ではない
後からその待ち人、ちょうど同年代の風格の青年が入ってきてこっちに会釈して隣の席に座った
『自分が呼ばれた理由はまだ聞かされていないんですが、博士、できるだけ詳細に教えてくれませんか』
青年はやや高い声で冷静に呟いた
『君達2人を合わせる機会を別にとっていたんだけど、まっしょうがないかナ』
『隣の同盟国の境界が我が国の対立国、ソウルスによって一時崩壊し、持ち直したとのことだよ。そこで戦った我が国の義勇軍から伝達で侵略には死兵が投入されており、破壊規模は少ないという矛盾から陽動作戦であると推測されたんだよ』
青年は挙手して発言権を求めた
『隣国が攻められただけで自分たちが召集される必要がわかりませんが』
『まあ〜そうなんだけどネ、隣国でもこの国の境界ともなかなか近い者だったからもしかしたらって感じだヨ』
『そうゆうことで、これを機会に君達に自衛用の装備を渡しておきたいと思ってね』
『えっ、まさか戦うことがあるんですか?』
これは素直に思ったが敵が潜伏しているなら暗殺とか目立たないことするんじゃ?と思ってのこと
『実際、うちの局のものが襲われて命を落としているからね。護身用だよ』
ここでアイゼンさんから受け取ったものは腕に巻く紐のような帯だ。両手とも指の骨のあたりに力を入れると起動する機能性重視の装備。まったくつけ心地は悪くないしただ布をつけているだけのようだ
『これにはGPS等の発信機、敵感知システムを採用している。そして相手に向けて念を込めると最大で光子にまで波を作れるほど波動を出せる。基本的にはそこまで威力が出るのには危機感とイメージ力が必要だから練習してくれ』
光子は量子場の一種であるから自分の脳まで揺らぐことができてしまうらしい。脳が揺らいだらもう破壊も同然だろう
『なかなか恐ろしい武器ですね』
『そうだね』
青年と意見が合致したとこをニコニコしながら雨目博士は切り出した
『起動状態で手を握るとネオジム磁場を発生させてシールドを一瞬で展開するから身を守るだけならこれ使いなヨ?』
握り直すとシールドを解除、シールド展開した状態で波動を出せるコンボ付きだ
『これ、なんて言うんですか?』
『”破掌-クウェイク/S”だね。』
『破掌とは腕に巻く、貼り付けて使う武装デバイスの総称です』
『さて、武器はこれくらいにして2人の紹介を始めないと居心地悪いよネ』
『自分は富美 闘竪、闘竪でいい。種族は普通の人間。異能として他人がジェネレートできなくなる結界を意識的に発動する能力を持っている』
『富美家はこの国切っての白兵戦戦術家なんだヨ』
武器を見た時から嬉しそうに?していた自分と違い、彼は研究者の眼差しで破掌を見ていた
自分の自己紹介も終わったところであめさんの質問責めに話が変わった
『健永くん、そのアブソーブはやっぱり精神力が回復する感じ?するの?』
研究局の主任だけあってボクっ娘口調が興味深々の話題のせいか消えかけている
『ジェネレートしたあとにアブソーブ使っているとまったく倦怠感がないのでたぶん出た分を吸収してるんだと思いますよ』
実際体力が戻ったこともありありとわかった。これでジェネレートした瞬間の体力消耗は気持ちの面だけで。というところだろう。でもまだ続きがある
『でも同じもの生成した時に前のものがそのまま出て来るのは興味深いね。新発見の能力かもしれないね』
『新発見ですか、いいですね〜見れる機会を楽しみにしてるよ』
唐突に闘竪は席を立った
『悪い、急だけど家から戻るように連絡が来た。あめさん、破掌ありがとうございます。
それじゃ健永、また会おう』
『またね』
短く断って闘竪を送り出す
あめさんはニコニコ手を振っている。本当に破掌が渡したかっただけなのか
『あめさん、俺に他には用はありますか?なければ帰りますけど』
『一応時間はあるんだよネ?アイゼンを相手にその破掌使って見ないカナ?』
自分は人と戦うという行為をしたことがない。スポーツでもネット競技にしか触れていないし、そもそもこの世界では運動をまともにしていない。
『アイゼンには素手で戦ってもらおうかナ?』
『決着はいかほどで決断されますでしょうか?』
『一方が降参または気絶くらいがいいカナー?』
気絶とは、なかなかシビアな判定で。しかも重症なのか度合いがわからない。単に怖い
『じょーだんだヨ、健永くんは怪我しないから。身動き不能でいいかな?』
『…脅かさないでくださいよ』
『んじゃ、下の訓練室に降りといてネ。ボクは設備使用の許可取ってくるカラ♪』
『ロイフ、せっかくだから俺はこれに勝ちたい。なにか勝算はある?』
『健永くんは頭で勝つ方ですから、相手が素手で身動き不能に持って来にくい立ち回りをすれば負けはしないでしょうね』
『じゃあ、中距離戦を維持することが重視されるわけか』
正直なところこれは不安要素である、波動を使うことになにが消費されるのか説明されてない。体力か、精神力か、それとも破掌自体にエネルギーのストレージがあるのか。
威力もどれくらい出るのか全くわからない
『んっ?これは…』
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『じゃールール確認ネ、アイゼンの勝利条件は相手を身動き不能にすること。健永くんは頭以外ならアイゼンを部分破壊しても構わないよ。簡単に直せるカラ』
アイゼンさんを破壊していいなんてルール今聞いたばかり。色々と考えてたことが吹っ飛んでしまう
『んじゃ、始めるネ……… 開始ッ!』
アイゼンの視線は全て健永の右手にある。波動が飛んでくる前に横に横にスライドしながら一度もミスなく徐々に詰めていく
『くっ…』
先程から足を狙っているがなかなかうまく当たらない。波動が届くまで若干タイムラグが見て取れる。偏差射撃を狙うしかない。
『うぐっ』
『よし、当たった…』
さすがに偏差射撃は効いたようだ。距離を詰められたのがヒットを誘発したのだろう
アイゼンは動きのパターンを変える。一定の距離を取りつつすきあらば直進して詰めてくる。これは1つの暗器をもった敵に対する間合いの詰め方だ。横にかわすことで打つ方からは線として相手の移動を追う。そこに急にまっすぐ直進することによって線ではなく点として射撃しなければならなくなる。
あと3メートル
『くっ…』
ここで一気に詰めてくる、はずだったがアイゼンが笑みを浮かべたような気がした。
『はぁぁぁあっ』
健永は両腕の破掌をアイゼンの両肩から膝にクロスするように振動を放った
『止め!』
アイゼンは膝をついて止まった。
『アイゼン、再起動しなさい。』
『博士、大丈夫です』
再起動が済んだのか、それとも強がってそれを無視したのかわからないスピードだった。
それで驚くところがアイゼンの体が一瞬にしてもとの状態に戻ったのに息を飲んだ
『合格ダヨ♪』
『え、あ…ありがとうございます』
『健永くんすごいです!』
ロイフが感嘆して目がキラキラしている
『いや〜、破掌2つ同時ですか。参りましたね』
『そうだネ〜、やっぱり闘竪クンには必要ないからもって行かなかったようダネ』
むろん破掌を2つ装備していたことに注視している。
『とりあえず、アイゼンを唸らせるくらいなら安全ダネ♪その破掌2つとももっていなヨ』
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これは2日前のことである。
『我が息子よ、ダークホールドを手中に収めることはできたか』
『はい、陛下のご懸念されることはありません。国に戻り次第、祭壇に返還します』
『ご苦労』
このあたりに王国は1つしかない。永世中立国を謳う国、オース。だがこの国は同盟国に国宝を貸すほど協力的、いや精力的な国でもある。
国王の子息が任務につく事件は3日前、貸し出した国宝を呆気なく取られてしまったと報告を受けたからである。
とった国はもう誰にでもわかるものだった。
国宝を貸し、それを取られるなど戦争勃発をさせるいい火種でもある。しかも価値が高い、この上なく。
そして日が経った次の日には、王国に返還されることになった手際の良さは異常である。
『義勇の皆に伝える。ここにある本は国宝にして禁断の書。読めば情報量の多さに死をもたらす。我以外何があろうと触れることがないよう命令を下す』
ゼファー隊は同盟国の一個隊。少将アレク総隊長が指揮をする国内最高の異能チーム