第一章 2『来訪者』
プロローグでは未だ恋愛要素を隠しつつ、ヒロインは誰なのかまだわかりませんけども。現実世界(あの世界)では恋人はいなかったようです…
ロイフはAIなので恋愛対象に入れるのか?他に出会う人と結ばれるのか是非作中で当ててみてくださいね♪
小鳥のさえずり?らしき音からなかなか覚醒する何時間をかけて二度寝に洒落込もうとしたとき、急にそれは覚醒を余儀なくさせた。
これはバターの匂いか、ロイフがベットにいないことを察するに彼女が朝ごはんを作ってくれているらしい。
軽く髪を濡らし、整え寝間着姿のままリビングに向かうとロイフの姿が見える。しっかりエプロンまでして料理しているらしい。
こっちから挨拶してやろうと向かって行く
『あ、おはよー健永くん!』
ん?声が違う…しかも先手を取られたようだ。
『おはようございます健永くん…朝ごはんがもうできますよ。』
ロイフの声はこれで、ってことは来客がいるのかと目を向けると声と相反して大人びた顔の髪の黒いショートボブの女の子がいる…
『おはようロイフ。 おはようひなさん。』
反射的になぜか名前を言っていた自分に驚き次の言葉が出ないでいると…
『あ、私の名前覚えてくれてたの!?』
『まだこっちに来たの昨日だよね?!』
どうやら名前があっていて驚かれているらしい、まだ思い出してるとかじゃないのだけど
『ロイフこの人は誰?』
名前を覚えてた感銘を受けているひなさんには悪いが知らないのだから教えてもらうほかない。ここでなにも聞かないでいると後々話が食い違いうと思いぶっきらぼうに聞いた
『誰って…えーーー!!』
『この方は以前この世界で親しくしていたらしい友達ですよ。』
ロイフの言葉に突っかかりがあるのは気のせいだと思うがひなさんは友達だったらしい。
『そっか、じゃあまたよろしくねひなさん。』
『えっ、飲み込み早いね君……私はこの世界で育った健永くんの…ガールフレンドよ。』
………ガールフレンド?彼女なのか!?普通に女の子の友達なのか?この世界での意味合いを若干理解しにくく処理をしていると
『あのね、健永くんが戻ったって聞いて朝から家まで訪ねて来ちゃったの…ごめんね、まだ知らないことが多いのに急に来ちゃって』
『いや、問題ないよ。それよりご飯だ…』
「……えー」
ひなさんには悪いけど前の世界でも飯を取らずに点滴だった俺は旧友の再開が食欲に負けたらしい。
ベーコンとバターで熱したスクランブルエッグを口に頬張り飲み込んで味を噛み締めていると
ロイフがさっきの誤解?を解いてくれた。
『どうですか?点滴しかできなかった5年ぶりの朝食は』
『めっちゃうまいよ!ありがとうロイフ!』
ロイフは人と区別できないほど綺麗な笑顔を浮かべた。彼女のご飯さえあればここで生きているのには退屈しなさそうだな…
『…そうだったの…私てっきりスルーされたかって、それはしょうがないね』
ごめんなさい!完璧に食欲に負けましたぁ!
と心の中で謝っておく。
『私も軽く何か食べようかな…』
ひなさんは呟くと同時に正面の椅子に座って…
あれ、さっきそこに皿なんてあったかな?と思っていると、サンドウィッチが急にひなさんの皿の上に乗った。残念ながら瞬きした瞬間で何か起こったのか見ることができなかった。
『ふふっ、これはまだ見たことないよねっ』
ひなさんは言葉の語尾に『っ』がつくとメッセでいう♪これに近い感じの上機嫌振りだ。
『これはロイフにはできないから教えてあげる。目を閉じてそこにサンドウィッチがあるのを脳裏に描くの。それで目を開けるだけで生成されるって仕組みよ。』
これがロイフの言っていた物質の生成かな、有機物までできるのか。エネルギー保存の法則無視してるよ…とここなら中でツッコミをいれながら早くやってみたい目をキラキラさせる。
『コツを掴むまではうまくいかないわよ。』
っと言われる定か、俺はすでに意識をひなさんの薬指に目を向けた。ひなさんは友好的だしこれなら笑って返してくれるだろと迂闊なことを考えて瞬きをしたところ
『えっ…………ちょっ、えっ?』
どうだっ、と目を開けたところひなさんの薬指には装飾のシンプルな指輪がはめられた。
『あ、案外簡単だね』
『健永くんこれって…』
ん?指輪だよ(*^ω^*)と返すつもりだったがなんかそんな雰囲気でじゃなくなっていた…
あっ、まずいルート行っちゃった感じ?と客観的に見ているのもはばかれ
『どうかな…俺の最初の作ったものは…』
『えっ、どうって…あなた…』
どうやら照れているらしいひなさんは表情をコロコロ変えている
もう十分にひなさんを楽しんだところで再度指輪に意識を注ぐ。
『あれっ…え?なんで…』
指輪が消えたのを確認するともう一回りひなさんの表情が変わった。
『すごい?俺、もう生成できるようになったよっ?』
『ええ、すごいです。物質を消すことも可能なのですか?』
と着替えを済ませたロイフが賞賛してくれた
ドヤ顔だったのかひなさんが毒づく。
『あなた、さっそく私を弄んだわね?』
どうやら指輪で心を取り乱したらいしひなさんはよそよそしくしていた
『私、帰るわ』
どうも相当弄んだのが気に食わなかったらしい。
ま、そんなに大したことでもないかと断りを入れて玄関まで追いかける
『ひなさんとの会話楽しかったよ。またいつでもおいでよ。』
『えっ、と…またくるね。じゃあ』
また表情を覗き込んだらいけないと察し笑顔で見送る
『ロイフ、着替えくるから待っててくれ。家の外を歩きに行こう』
『ええ、食器を片付けておきますね』
こうしてこの世界の朝は迎えられた。
健永って名前は私(作者)が生まれて付けられるときに親が2つ名前を用意していたそうで、使われなかった方です。発音しか聞いていないので漢字は作風に合わせてつけました。
ロイフは今まで聞いたことがない名前をつけてみようとして、つけたものの、あれっ女の子っぽい名前かな?と再確認する始末…