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異世界召喚レレレのレ  作者: kika
4/7

3話:覚悟

国王の指示にて鑑定なる作業の準備が進められた。

極虎は先ほどのショックからまだ立ち直れていない。

その他の生徒達もあんな事が出来るようになってしまった極虎に対し、同情や恐怖から声を掛けられないでいる。


そんな間に鑑定の準備が終わったようだ。

鑑定の準備が終わったと同時にまたキースベルが再び玉座に座る。


「そこにある鑑定石でそなたらが持っている力を確認する。心の準備が出来た者から前に出て鑑定せよ。」

キースベルは定型文を読み上げるように機械的に発現する。

以前の助け人に対しても行った説明なのかもしれない。そうすると、キースベルの年齢からして結構頻回に大厄災が起きているのだろうか?

いや、ただ、キースベルはこの様な喋り方が癖なのかもしれない。


「鑑定の前に質問してもいいですか?」

キースベルの促しに対し、誰一人反応しない。全員が、同じ事を考えているからだ。

そんな中、裕樹がキースベルに声を掛けた。


「発言を許そう。」

「はい。この鑑定の結果に関係なく、僕達の意見を尊重して元の世界に帰して貰えますか?」

そう。クラスメイト全員が鑑定した結果、もし極虎の様な力があることが分かってしまえば、元の世界に帰して貰えないかもしれない。ならば、鑑定をする気になるはずがない。

だが、このままだと時間だけが経過するだけで事が前に進まない。だからこそ、裕樹が直接キースベルに質問したのだ。


「……そなたらは勘違いをしているようだが、もしこの鑑定の結果でそなたらが助け人で無かったとしても帰すことは出来ん。」

「なっ!何故ですか!?力のない人間など意味がないでしょう!」

キースベルの発言に、全員の表情が曇った。

元々は、自分たちが助け人ではないため、元の世界に帰して欲しいと言う嘆願を行いに来た。だが、極虎の一件でもしかしたら、自分たちも本当に助け人なのではないか?そんな疑念があったからこそ鑑定を拒んでいたし、裕樹が保険として、もし特殊な力を持っていても、本人の意思で元の世界に帰りたいと言うのなら帰すと言う言質を取ろうとしたのだ。だが、返って来た答えは、助け人であろうが、助け人でなかろうが、関係なく帰すことはない。と言うことだ。自分たちが帰れると思っていただけにショックは大きい。中にはすでに泣き出している者も居る。

裕樹が声を荒げてしまうのも分かる。


「確かに力のない人間に意味はない。だが、どうしようもないのだ。今回の召喚に向けて5年の準備をしてきた。返還に関しても同じだけ準備が必要だ。だが、その前に大厄災が訪れる。そうなると準備どころではない。」

「……。」

全員言葉が出ない。

普通なら、不平不満が溢れ出すところだと思うが、実際大きなショックを受けると何も言い出せない。


「ただ、なるべく早く帰る方法はある。」

キースベルのその言葉を聞いて、クラスメイトは全員顔を上げた。


「その方法とは…?」

祐樹が話の続きを促す。


「大厄災を終わらせる事だ。助け人は大厄災を終わらせるために呼ばれた者達だ。大厄災さえ終われば元の世界へ帰ることが出来る。」

自分たちがなぜ、この世界に呼ばれたのか。この世界で何を成すべき存在なのか。その答えは大厄災を終わらせる助け人だ。嫌でもやらなければならないと言う事だろう。


「みんな。聞いてくれ。」

キースベルの話を聞き終えた祐樹は、クラスメイトに向いて語り始めた。


「俺は助け人として大厄災を終わらせようと思う。それで帰れるならやってやる。」

祐樹は覚悟を決めたようだ。この世界を守るためではなく、自らの居場所に帰るために。その姿に、希望を見た生徒は少なくない。


「…ただ。」

祐樹は話を続ける。


「今から鑑定とやらをして、俺にどんな力があるのか、もし何らかの力があったとして俺だけの力で大厄災を終わらせることが出来るのかわからない。正直…不安だ。だから、俺と一緒に助け人になってくれないか!?一人でもいい!俺を助けてくれ!」

そう言って祐樹は頭を下げた。


「しゃーねーな。祐樹がそこまで言うなら助けない訳にはいかねーだろ。」

一人の男が立ち上がる。

彼は確か村上(むらかみ) 国英(くにひで)だ。

かつて礼暦錬の掃除を手伝ったグループの一人。身長が祐樹より高くガタイもいい。何か格闘技の大会で優勝したりしていたはずだ。

短髪のスポーツ刈りで色黒だから結構な強面に見えるが、気のいい兄ちゃんみたいな性格でクラスでは祐樹に並んで人気のあるやつである。


「祐樹くんに国英くんがやるならやるしかないでしょ!」

「そうだね。」

「いっちょやるか!」

国英が立ち上がったのを見て、1人また1人と立ち上がる。最終的には過半数に促される形で1人を除いて全員が立ち上がることになった。礼暦錬もまた然りである。


「鑑定をお願いします!」

祐樹がキースベルに向かって覚悟を決めた目線を送る。

それを見た国王は今までの仮面のような顔から少しだけキースベルをあげニヤリと笑ったように見えた。


「よし。では、鑑定を始めよ!」

キースベルの合図で祐樹達の鑑定が始まるのだった。

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